福島・近隣県食品輸入は再開されるのか/台湾

まず結論として、CPTPP加入を目指す台湾としては、遠くない将来に輸入再開するだろうと筆者は考えております。まずは、簡単に現状に至るまでの経緯を簡単に説明いたします。


2011年3月の福島第一原子力発電所の事故により多くの国が福島県産やその近隣県の食品の輸入を禁止しましたが、放射性物質が基準値を下回っているということで、輸入再開をする国が増えてきました。

ただ、「親日国」と言われる台湾では、未だに福島・茨城・栃木・群馬・千葉県産の食品輸入が全面禁止となっており、日本国民から不満の声が挙がっています。

元々は2016年の選挙で蔡英文氏が総統に当選、民進党も立法院(国会に相当)の過半数の議席を得るなど、政権交代が起き、福島県産食品を再開する動きがあったのですが、野党になり下がった中国国民党が民進党叩きのために、「福島県産食品は危険である」というデマを流して「そんな食品を輸入再開しようとする民進党は国民の健康を蔑ろにしている」という主張をしていました。そして2018年、国民投票が行われ、その結果デマを信じてしまった台湾国民が輸入再開反対へ票を入れてしまったため、与党民進党政権は再開を出来ずにおりました。

が、国民投票の結果は2年間有効ということで、2020年末に輸入再開を検討することができたのですが、この頃、台湾では米国産豚肉輸入が始まろうとしており、中国国民党が「毒入り豚肉の輸入を許す民進党は国民の健康を蔑ろにしている!」という主張をし始め、国民投票で民意を問うと騒ぎだしたために、民進党は福島県産食品の輸入再開が出来ない状態にありました。

もしここで強引に輸入再開をすると、民進党の支持率が下がり、次の選挙で負ける可能性が出てくるので、強引に輸入再開へ舵を取ることができなかったのです。

そして2021年12月、国民投票が行われ、幸いにも米国産豚肉の輸入反対案は否決され、国民党の妨害は失敗に終わりました。これは「食の安全」に関わる投票であったため、米国産豚肉輸入と共に「福島と近隣県産食品輸入再開」についても再び注目されるようになりました。

民進党は元々から輸入再開をするつもりであったため、昨年の国民投票の結果を受けて、そしてCPTPP加入申請を行なっているため、すぐに輸入再開を表明するかと思いきや、なかなか再開を表明しておりません。そこには台湾国内の政治が大きく影響しています。

ただ、そんな中、民進党は輸入再開に向けて動いていると分かるニュースがありましたので、ご紹介いたします。


2022年1月14日、民進党は大臣や官僚を招き、福島県と近隣県産食品の輸入再開について討論した。その後行政院スポークスマンの羅秉成氏は

現在、全面禁止している国は台湾と中国のみだ。台湾の近隣国家、EUと米国などは全面的に輸入再開または検査後に輸入許可という形を採用している。台湾政府は国際基準、科学的根拠を参考にしながら、国民の健康を守っていく。

と述べた。

これが何を意味するか?というと、世界で全面禁止しているのは中国と台湾しかなく、むやみやたらに全面禁止を継続する事は「あの中国」と同じですよ。また台湾が中国と同一視されちゃいますよ、というメッセージが込められているということです。台湾国内の統一派を除いては中国と一緒にされることを嫌がる傾向があるため、この 羅秉成スポークスマンの発言は、食の安全に関心を寄せる台湾国民に全面禁止は合理的ではないということを分からせるのに役立ったものだと考えます。

民進党政権は国会の過半数を取っているんだから、強引に輸入再開をすれば良い、と考えるかもしれませんが、実は国政で強くても地方政治では国民党が強かったりするので、輸入再開を望む日本人は台湾政府の動きに苛立つかもしれませんが、CPTPP加入という大きな目標があり、加入には再開が必須条件となるので、ここは目くじら立てずに台湾政府の動きを注目していくべきだと考えます。

まだまだ強い野党国民党「蔡英文総統は独裁なのか?」も併せてご覧ください
https://asia-news.tokyo/01-14-2379/

ちなみに羅氏は「もちろん(基準値を超えるような)汚染食品の輸入は行わない」と述べています。

2022年1月15日 編集・翻訳(八度 妖)

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