朝日新聞「台湾で米軍の信頼急落 有事参戦めぐる世論調査 自衛隊に期待43%」に思う事

3月22日夜に出されたニュース記事なのですが、なんというか、中国共産党の機関紙ではないか?と思うくらいの台湾と日米を引き離すような見出しだったのと、この記事だけを読むと「台湾人は自衛隊に期待しているのかぁ、アホだなぁ」と思う日本人も出てくるかもしれないので、補足もしておきたいなぁという意味もあって取り上げてみたいと思います。

それでは早速朝日新聞の記事から

台湾で米軍の信頼急落 有事参戦めぐる世論調査 自衛隊に期待43%

→おやおや、いきなりタイトルがアメリカ叩き、中国共産党的視点では米台分断工作にもつながるような表現ですね。本当に信頼が急落したのか後ほど解説いたします。続けます。

ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにした台湾人のうち、「台湾有事には自衛隊が参戦する」と回答した人が43・1%(参戦しないは48・6%)に上ったことが、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」の世論調査でわかった。米軍の参戦を信じる人は34・5%(同55・9%)で、日本に対する信頼を下回った。

→こちらのシンクタンクの質問としては、有事の際に日米が兵を出して台湾を守ることをするか?という問いに、日本語的に言えば、出兵する、どちらかと言うと出兵する、どちらとも言えない、どちらかと言うと出兵しない、決して出兵しない、というような希望を含ませることができるような選択肢であったため、この結果を以って「アメリカ軍の信頼が低下」と記事を書く事に違和感を持った日本語ができる台湾人は多いようです。また後で解説しますね。記事を続けます。

 日米両政府はともに、台湾有事に介入するかを明らかにしない「あいまい戦略」をとる。昨年10月の同種調査では、自衛隊の参戦を信じる人は58・0%、米軍は65・0%で、自衛隊で14・9ポイント、米軍では30・5ポイント急落した。同基金会が22日、侵攻後の今月14~15日に20歳以上の約1千人に電話調査し、発表した。

 同基金会は数値の変化について、「まれに見る悲観的な心境の急変」と指摘。「各国がウクライナに派兵していない事実が、台湾人に大きな衝撃を与えた結果だ」と分析している。

 調査結果では、中国による台湾侵攻があった場合に台湾が単独で軍事対応しなければならないと心配する人は、59・7%に上った。さらに、台湾のみでは中国による占領を防げないと考える人は78・0%だった。防げると答えた15・8%のうち、中国と距離を置く蔡英文(ツァイインウェン)政権の与党・民進党の支持者の割合は、中国融和路線をとる野党・国民党の支持者の5・4倍だった。

→これも先ほどの日米の軍を出兵するか、という設問にも関係する所で、結局のところ、自分の国は自分で守らなければならないという意識が多くなったという結果であるということ、強調させていただきます。

 また、単独でロシアに軍事対応しているウクライナの境遇に同情する人は、87・2%に上った。

 台湾外交部(外務省)の22日の発表によると、台湾ではウクライナ支援のためとして、約7億8800万台湾ドル(約33億円)の寄付が集まった。医薬品などの支援物資も約200トン寄せられているという。(台北=石田耕一郎)

→ちなみに日本は、3月25日時点で51億円。人口が日本の約1/5であること、そして年収も200万円ほど、とざっくりですが、日本の半分くらいとも言われている中での33億円にも上る寄付金の多さ。もちろん金額で優劣が決まるわけではありませんが、この額はすごいなぁと思いました。現在台湾が中国共産党と言う巨大な独裁国家の脅威を目の前にしている状況を見て、ロシアのウクライナへの侵略とを重ね合わせて、危機感を持ったのと同時に、なんとかして無辜のウクライナ国民の役に立ちたいという気持ちがあってこのような大金が集まったと思われます。

はい、以上が記事の読み上げでした。


こういうアンケート結果をどのように伝えるか?という点では、アンケート調査のやり方を公表しなければ、なんとでも印象操作は可能であることは皆さんご存じかと思います。今回のこの民意調査は、自衛隊単体での出兵があるか否か?を聞いたわけではなく、あくまでもアメリカが出兵したら、それに伴って自衛隊も出兵するか否か?という視点で聞いている訳ですから、自衛隊の単独出兵に期待している台湾人が半分近くいる、と解釈する事はやってはいけません。そして、

「台湾人は自衛隊が憲法9条という足かせがあって
出兵できないことを知らないのか!」

という声もSNS上ではチラホラと見かけますが、自衛隊が自国を守るための組織だと言うことくらい、「自衛」という漢字を見れば分かるので、台湾好きな私としては、なんだか台湾人が馬鹿にされたようで、そういう投稿を見てイラっとしました。まぁ、極少数の意見なんでしょうけどもね。


さて、本題に戻りましょう。今回のアンケートはロシアによるウクライナ侵攻後に行われた調査であり、前回似たような調査は昨年10月にも行われ、確かに「台湾有事の際に米国が出兵してくれるか?」という設問に対して、「参戦する」と答えた人の割合が65%だったことから、34.5%という数字だけを見ると急落しているのは事実です。ですが、朝日新聞の見出しにあるように信頼急落、と表現するのは、もはや中共プロパガンダとも言わるようなアンケート調査の内容を歪めていると言っても過言ではありません。

例えばですが、日米の台湾に対する「あいまい戦略」を理解していない台湾人であれば、昨年の段階では「なんかあったらアメリカが助けてくれるんだろうなぁ」と考えて、「出兵する」と回答したのですが、その後ウクライナ侵略戦争が始まり、アメリカが出兵しない事に驚き、米台関係の情報を知るようになった後に、同じ質問が来たとすれば、出兵すると約束していないものに対して、「必ずや出兵する」と答えるわけがありませんよね。台湾にもお花畑な人間がいるのも事実であり、国際情勢に疎い人だっているわけですから、このように民意調査の結果が大きく変わるのは、これだけ大きな出来事があったのですから当然と言えるわけです。

ちなみに、面白いデータとして、アメリカの参戦があると答えた人が34.5%だったということですが、支持政党によって全く異なる結果であったということです。
民進党を支持する人の61%が参戦する、29%が参戦しないと考えており、国民党支持者は19%が参戦する、77%が参戦しない、民衆党の11%が参戦する、86%が参戦しない、無党派層の18%が参戦する、68%が参戦しない、と言う結果でした。民進党支持者でアメリカが参戦してくれると信じている人、期待している人が多いのは、蔡英文政権の対米政策がうまくいっているとの現れかと思いますが、最終的なデータとして34.5%が参戦するというような結果になったということは、支持政党の偏りが無くアンケート調査がおこなわれているとの現れかと思います。


話は長くなりましたが、簡単に言うと、今まで期待値として日米の軍隊が来てくれるといいなあと思っていた人が、ウクライナ情勢をきっかけに、国際情勢についての情報を耳にして、日米は「あいまい戦略」を取っているので過度な期待をしてはいけない、あてにしてはいけない、という考えを持つ台湾人が増えた、ということの表れであるということで、決して朝日新聞の見出しにあるように、信頼急落というのはあまり関係ないというのが私の見解です。まぁ、そもそもアメリカも日本も信頼しないという人は、どういう属性か?というと、皆さんもお分かりかと思います。

最後になりますが、台湾有事について、どこか他人事に捉えている日本人が意外に多い、特に似たような意見を目にしやすいSNSではなく、実社会での声を聴くと、多いと感じております。私のような政治系ブログをお読みになる方は、台湾有事は日本有事である、と認識している人が多いので、全く問題ないと思っておりますが、そうでない人たちに如何に伝えるか?が今後の課題かなぁと思っております。
ただ、現実問題として、実際に悲惨な場面などを見たり体験したりしないとなかなか実感が湧かないというのも理解できます。江戸末期の黒船来航に際しても同じようなことがありますので、仮に中国共産党による台湾侵攻があったとしても、他人事と思う人はいるでしょう。沖縄や北海道が中国共産党やロシアに侵略されてはじめてギャーギャー騒ぎだすんだろうなぁと考えております。ですので、家族や親しい友人などに「台湾有事は日本有事だ」ということをやんわりと、ふわっと説明するのが、現段階でやる事なのかなぁと思っております。

久しぶりの時事ニュースに関する動画でした。本業が年度末と言う事もあり、システム更新など、忙しくなかなか動画が出せなくてすみませんでした。またボチボチとBlogを更新していきますので、何卒よろしくお願いいたします。

2022年3月29日 編集(八度妖)

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