確定!TSMCアリゾナ5ナノ工場来年着工 9年間で3600億元(1.2兆円)の投資

   今日はかねがね噂されている台湾が本社の世界最大の専業ICファウンドリーTSMC(台積電)がアメリカに工場を設立することが確定したことに絡み、米中貿易戦争が台湾やインドを巻き込み第三次世界大戦になるのでは?と思われる動きになると台湾メディアは分析しておりましたので、それをお伝えいたします。まずは、新聞記事を和訳しました。
毎度お馴染み自由時報より

確定!TSMCアリゾナ5ナノ工場来年着工 9年間で3600億元(1.2兆円)の投資

  TSMCは今日(15日)、米国連邦政府とアリゾナ州との共同の理解と支持の下、米国に最先端ウェアは―工場の建設と操業をすることを発表した。この工場は5ナノ製造プロセスによって半導体チップが生産され、月産2万枚のウェハーが生産される計画であり、2021年に着工し、2021年に量産を開始する。2021年から2029年までにこの案件に資本金も含む支出総額は約120億ドル(約1.2兆円)とも言われており、工場稼働の際には1600以上のハイテク専門家の雇用を生み出し、1000人以上の製造にかかわる間接的な仕事の雇用も生まれる。この業界を揺るがすニュースに対してどのような投資優遇政策があったのか多くの人が注目しているが、TSMCはこれについては何も説明していない。

TSMCは現在米国ワシントン州キャマス市にウェハー製造工場を1拠点、テキサス州オースティン市とカリフォルニア州サンノゼ市にそれぞれデザインセンターを持っており、アリゾナ州の最先端工場は米国における2番目の生産基地となる。

TSMCは、この大型案件は、米国半導体業界に対して十分な活力と競争力をつける非常に重要な戦略的な意義があると述べており、この分野でリーダー的な米国企業が米国内で最先端の半導体製品を生産することを促すことができ、同時にグローバルレベルでの半導体ウェハー製造企業と関連企業の地理的優位性も享受できると考えている、と伝えられている。

(中略)
米国への投資はTSMCにとっても非常に魅力的な部分もある。米国が先行的に投資政策を採用したことは、最先端の半導体業界にグローバルレベルの競争力を身に付ける環境を得られることを意味し、この環境は本案件の成功が肝となる。これはTSMCの投資はサプライチェーンにも大きなプラスをもたらすものとなる。
(以下省略)


はい、以上が記事の和訳となります。

TSMCの主要顧客一覧

さて、今日はこのTSMCの動きと米中貿易戦争を絡めて台湾メディアが言っていたことを纏めてみました。
現在米国は中国からの撤退に関する費用を全面負担するという政策を打ち出しており、それに伴い、台湾という存在がますます重要になってきております。例えばですね、アップル社ですが、100億元(約350億円)を台湾に投資しており、現在台湾の龍潭という所に最新のパネル工場を建設しております。
そして、米国はかねがねTSMCに米国へ工場を建てることを要求していましたが、生産コスト等の面でTSMCはずっと難色を示しておりましたが、ニュースにあるように、5月15日に正式な発表がありました。つまりなぜアメリカがTSMCに米国工場を建設するよう求めていたかと言うと、最先端の半導体を安定的にアメリカに供給できるような体制が欲しかったと言われております。また、TSMCは台湾だけでなく、中国にも生産工場を持っているため、米国としては5ナノという最先端の技術に関する機密情報を中国に渡されるリスクを減らすことができます。
米中貿易戦争が世界の国々を巻き込みながら経済的な世界大戦になろうとしている局面で、米国に最先端工場を建設するというニュースは、台湾がとうとう米国側陣営になったという事を意味しております。それは台湾にとっても国際的地位、国際的露出を高める作用もあり、今まで日本以上に中国に経済を依存していた体質を改善する意味も持っているという事でございます。更にはコスト面でさすがに米国では生産できないような半導体やそれに関連する企業の生産拠点を、通信の秘密が守られ、民主的な国家運営が行われ、且つ悪い言葉で申し訳ないのですが、アメリカの言う事を聞いてくれる台湾という所に多くの米国企業が生産拠点を移すであろうと言われており、台湾の専門家によっては、台湾はこれまでなかったほどの好景気が生まれる可能性があると言われております。

さて、まずはアップル社の龍潭にある工場に更に100億元(350億円)を投資拡大したというニュースですが、既に龍潭にアップルの非常に秘密のベールに包まれている工場が稼働しており、これは2014年に開始されたアップル社の台湾に対する投資でした。本当にこれは大々的に報道されることもなく、しかも当時台湾の総統であった馬英九氏が視察に行きたいと申し入れたにも関わらず、拒否されております。そして2019年12月2日に完成した工場、これですね。

Googleストリートでみるとこんな感じでモザイクがかかっておりますが、工事現場に掲げられている標識にははっきりと「米国アップル社」と記載されております。この工場ですが、地上6階、地下3階建てのこの工場のセキュリティレベルは非常に厳重で、今まで何が作られているかも分かりませんでした。そして最近になってこの工場ではMini LEDとMicro LEDと言われるパネルの生産されているというのが明るみになっております。このMini LEDですが、生産に際して、工場近くにある友達光電(AUO)や晶電(Epistar)との提携しており、生産がしやすい状態であることが注目すべき点でございます。つまり今までサムスン、LGなど韓国勢が生産しているOLED、有機ELに頼り切っていたアップルがいよいよそれと決別しても良いと覚悟ができたとも言えます。またサムスンですが、OLEDにおいて、京東方BOEへ技術を渡していたことも明るみになっており、OLEDは韓国と中国に牛耳られている状態だとも言われており、そんな中、他に生産できるサプライヤーが不在であるため、アップルとしても彼らに対して妥協しなければならない状態でした。そこでアップルは部品供給の面で爆弾を抱えているのは宜しくないと考え、2014年から着々と台湾へ生産拠点を移していたと分かってきました。ちなみに次回9月くらいでしょうか、に発売される14.1インチMacBook Proや新型のiMac Proに使用されると言われております。

完成間近に撮影されたApple社台湾工場

なお、このアップルのパネル関連で台湾で発生する金額と言えば240億ドル、2.4兆円ともいわれており、全額台湾に下りてくるわけではありませんが、半分や1/3だとしても数千億円規模の経済効果があるとみつもられておりますので、台湾にとっては巨額な投資が舞い込んできた形となります。中国国民党時代は中国一辺倒で、中国と関係は持ちつ持たれつだったとも言われておりますが、2016年に蔡英文政権が誕生し、中国から観光客を打ち切られたり、輸出入で厳しい検査を行なわれたり、と卑劣な嫌がらせを受けてきました。そして今回の世界的な流行り病がきっかけとなり台湾は中国と距離を置く、ということではなく、更に進んで、中国と関係を切ろうとしたことが、マイナスに働くのではなく、人生万事塞翁が馬、ではありませんが、逆に台湾経済を強くする可能性が非常に高いという状態でございます。

さて、次にTSMCですが、先月まではTSMCは生産コストの面で米国に生産拠点を置く可能性は極めて低いと言っておりましたが、コストを重視するTSMCがそんな条件にも関わらず、なぜ米国に生産拠点を置くこと決めたのか。まずは非常に重要な情報なのですが、F35戦闘機がカギを握っております。F35にはTSMC製造のチップが組み込まれていると言っても過言ではありません。F35に実際に搭載されているチップはXILINXが提供しており、これだけ小さなチップの中に350億個のトランジスタが搭載されております。例えば最新のiPhoneに組み込まれているA13チップには85億個のトランジスタが使われていると言われていることから、XILINXのチップが如何に高性能かが分かるかと思います。このXILINXのチップはTSMCから材料部品を仕入れて製造しているので、F35は実質TSMCが提供しているとも言えるのであります。
ちなみに最近台湾でも炎上しているITビジネスアナリストの深田萌絵 氏ですが、皆さんご存じでしょうか。彼女はF35に搭載されているチップはTSMCのものではないと公言しておりますが、TSMC無くしてXILINXのVIRTEX-7は製造できませんので、誤った情報だと言えると思いますし、彼女が常日頃いう「青幇(チンパン)」という闇組織ですが、とっくの昔に台湾の表舞台から姿を消して、現在はNGO団体として細々と活動をしている程度でございます。中共関連や台湾関連の情報を収集する際には、深田萌絵氏の情報は眉唾レベルだと思っていただければと存じます。

数々の嘘がちりばめられた深田萌絵 氏のTwitter

話は逸れてしまいましたが、なぜ米国がそこまでしたTSMCを米国に呼び込もうとしたか、についてですが、これは、5G通信やAI技術に於いては、既に米国は中国と互角か負けているとも言われておりますが、それを動かす根底の部分のチップに於いて、中国が何か悪さをしたらチップセットを提供しないぞ、という最終手段をアメリカは持ちたいと考えているからであります。
5GやAIはこのような半導体を用いて演算処理するわけですが、例えばの話、数年前のパソコンと最新鋭のパソコンで高度な処理を行なうと、明らかな差が出てきてしまいます。という事は、コンマ数秒でやるかやられるかという戦闘機による戦闘状態においては、処理速度が如何に重要か、はご理解いただけるかと思います。アメリカは軍事的な面において、中国に大きなアドバンテージを持つことが出来るわけなのです。

さて、もう一つ今度は米国で報道された内容からTSMCが米国に行かなければならない理由をお伝えしようと思います。

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事となります。

トランプ政権、半導体の自給自足目指す インテルなどと協議

  WSJが確認した文書や協議に詳しい複数の関係者によれば、トランプ政権は国内に新たな工場を設けようと米半導体メーカー最大手インテルやTSMCと話し合いを実施。インテルの政策・技術担当副社長グレッグ・スレーター氏は「われわれはこのことに非常に真剣だ」と述べ、政府やその他の顧客に対して安定的に最先端の半導体を供給できる工場の稼働を目指すと続けた。
 事情に詳しい関係者によれば、一部の米当局者はテキサス州オースティンにすでに工場がある韓国のサムスン電子にも、国内での受託製造を拡大できるよう支援していきたい意向だ。


  つまりはインテルもサムスンも米国に生産拠点を置くことになっており、こんな状態でなぜTSMCだけが米国に生産拠点を置かないのか?と見えない圧力も働いたとも言えますが、もう一つの理由として、米国半導体産業協会(通称SIA)が米国政府に対して数百億ドル規模の新たな基金を創設するよう求めており、その飢饉により国内の半導体製造体制を強化する、先ほど記事でいうと半導体の自給自足を狙っているという部分です。恐らくなのですが、この新たな基金設立に目途がついて、TSMCが米国に生産拠点を建設する費用にも使えるということで、建設コストと生産コストの折り合いがついたためであろうと台湾メディアは推測しております。
過去に中国が自国に様々な製造業を呼び込むために、飴を用意して呼び込みましたが、今度は米国が同じような手法で最先端の製造業を米国に呼び込むように動いているとみても良いと思います。そうなると台湾としては、今度は米国依存という形になるかもしれませんが、「お前の物は俺の物、俺の物も俺の物」というどちらのジャイアンについていくのか?ということになってしまうものの、同じく民主主義国家である米国に付くと決断したTSMCはこれからの世の中の流れを変える決定になるのかもしれませんね。

さて、今度はアップルの製造拠点がインドにもシフトしているという点をお伝えしようとしましたが、あまりにも長い動画になってしまいそうなので、今日はここまでにしたいと思います。


いやぁ、米中貿易戦争がますます激化しておりますね。その中で台湾は早々と中国との関係を断ち切り、アメリカと組んでいくことを選びましたが、一方日本はどうなんでしょうかね。以前の動画で2000億円規模で中国から国内回帰または東南アジアに生産拠点を移すよう日本政府も決めたようですが、その一方、中国に開発拠点を新たに置くというニュースも流れており、日本がどちら側に付くのかという点が私としては心配でありますが、言葉は悪いですが、あの国は疫病神的な存在であると私は思っているため、台湾のように関係を断ち切り、インドや東南アジアに市場を見出した方が良いのかと思います。しかし、日本の政界には親中的な人が多く見られ、血迷って親中路線を取ってしまわないか、と心配しております。
ちょっと言いそびれてしまったのですが、米国だけでなく、世界が台湾を注目しているという点、ご紹介したいと思います。ノルウェー中央銀行、つまりは政府銀行が4月末時点で、台湾にあるいくつかの金融機関の株を100億元(350億円)をも超える額で購入しているというニュースもあり、ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、世界中の投資家が台湾経済に目を向けているとも言えると思います。というか今までが冷遇されすぎていたというのもあると思います。2020年1月は総統選で注目された台湾ですが、あの疫病騒動に於いても完璧な防疫を行ない世界の注目を浴びております。そして、今度は経済的な面においても、米中貿易戦争の重要な役割を担う台湾、ますます目が離せない存在となっていると思います。できればこのまま台湾国の建国の動きに拍車がかかると良いなぁと思っております。

YouTubeでも配信中

2020年5月16日 編集・翻訳(八度 妖)

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