米軍地位協定の破棄『停止』 比國、同盟決裂は回避

  今日は、また台湾のニュースで気になるものがありましたのでご紹介いたします。今回は日本のメディアでも取り上げられていたニュースですので、日本語のニュースをさらっと読み上げた後、台湾メディアの解説をご紹介したいと思います。

それでは、産経新聞より引用

米軍地位協定の破棄「停止」 フィリピン、同盟決裂は回避

  フィリピンのロクシン外相は2日、米軍の国内での法的地位を定めた「訪問軍地位協定(VFA)」について、破棄するとした米国側への通知の効力を停止したことを明らかにした。地位協定は米比合同軍事演習の根拠ともなっており、同盟関係が決裂する事態はひとまず回避された。
 地位協定は1998年に締結された。軍事演習に参加する米軍関係者の入国審査の簡素化や、罪を犯した米兵について米国が一定の裁判権を行使できることなどが盛り込まれている。フィリピン政府は今年2月に破棄を通知しており、8月に失効する予定だった。


(中略)


 フィリピン外務省は停止の理由を明らかにしていないが、1日付の文書で「地域の政治状況を踏まえた」と説明している。破棄の撤回ではなく、6月1日から「6カ月間の停止」としており、地位協定が失効する可能性は残されている。

 米国側は今回の決定を歓迎する意向を示している。地位協定の破棄通知をめぐっては、エスパー米国防長官が南シナ海情勢を念頭に「米国と地域の同盟諸国が中国に国際的規範を守るよう求める中、誤った方向に向かうものだ」と遺憾の意を表明していた。


産経新聞 2020.6.3 14:38
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/200603/mcb2006031438022-n1.htm


はい、以上が産経新聞の記事の引用でした。

さて、では、このニュースを台湾メディアがどのようにとりあげているかというと、台湾は香港の南東約340kmの南シナ海に東沙諸島を、そしてさらに南にある太平島を実効支配しております。この辺とこの辺ですね。今回のフィリピンのニュースをご紹介したのは、台湾の国防にも関係する為でもありますし、日本にも関わりがあるからでございます。最近、台湾が実効支配をしている東沙諸島の近辺には連日のように民間を装った中国の船が大量に押しかけて、東沙諸島を包囲しているようです。日本でもこの辺の事情は取り上げられているものの、それほど大きなニュースにはなったいなさそうですが、中国はこの南シナ海において、最近三沙市という軍事用飛行場を建設したりして、実効支配及び周辺諸国に脅威を与えております。

上が「東沙諸島」、下が「平和島」

台湾のジャーナリストレベルで知り得ている情報としては、武装している巡視船が12隻、直接作戦に投入される戦艦が7隻、また大小合わせて19隻の戦艦、しかも数千トン以上の船が南沙諸島に駐留しながら、東沙諸島付近をウロウロしている状態でございます。また衛星写真をご覧いただければ分かる通り、すでにミサイル発射装置や戦闘機が配備されており、しかも南シナ海のこれらの島は、波が高く、風も強く、そうした潮風の塩分濃度も高いため、野ざらしだと戦闘機や武器が簡単に壊れてしまう状態ですから、それらを格納する格納庫までも建てられている状態でございます。ということは長期戦を意識していることが伺えます。
  しかもここ10年くらい、中国は南シナ海に防空識別圏ADIZを設定しようと絶えずその機会を狙っておりますが、皆さんご存じかと思いますが、2016年に国際仲裁裁判所が領有権に法的根拠がないと判断したので、常識で考えれば防空識別圏を設定できるわけがないのですが、それでも今も南シナ海での軍備拡大、防空識別圏の設定を目指しているのが現状でございます。まぁ、あの国は常識が無いので、防空識別圏の設定を虎視眈々と狙っている訳ですね。

  さて、それで今回のドゥテルテ大統領の決断は、先ほど述べたように南シナ海で中国が傍若無人な行動を取っており、フィリピンの国防にもかなりの大きな影響をあたているからだと考えられております。ただ、ニュース記事にもあるように、今回の破棄の撤回をしていないので、またどんでん返しがあるのでは?とも言われておりますが、台湾のメディアでは2つの原因があるため、どんでん返しが無いと考えているようです。1つは、先ほど述べた南シナ海での中共の軍事拡大の動き。詳しく述べるとパグアサ島(日本統治時代は三角島と言われていたようです)の設備、元々は蒋介石時代の中華民国が建てた設備なんですが、これがかなり老朽化しておりそれをフィリピンが直そうとしても、中共軍が先ほど述べたような軍艦をこのパグアサ島付近に派遣して、フィリピンに改修工事をさせないという動きも出てきたからであります。自分自身は西沙諸島、南沙諸島で次々と軍事基地などを建設しているくせに、他国がすこしでも手を加えようとしたら、威嚇する中共軍。もうやくざ国家と言っても過言ではないと思います。

さて、そしてもう一つはドゥテルテ大統領が就任したい際に、負担となっていた1億ドルだとか2億ドルだとか言われる米軍基地関連の費用が非常に高いと考えていた時に、手を差し伸べてきたのが習近平総書記。一時は兄弟のような関係で、フィリピンが必要なものは何でも提供しますよ、と比喩されるくらい好条件を提示したと言われていますが、恐らく最近になってこれら好条件が全然履行されていない、もしくは履行されていたとしてもフィリピンにとって何もプラスにならないやり方だったと気づいたからだと言われております。考えてみてください、中国が好条件を出してきて、それが実感できるのであれば、国益を重視するドゥテルテ大統領がアメリカとの軍事協定を破棄すると通告までした態度が180度変わるということは、この流行り病の影響だけとは考えにくい状況かと思います。

  そして台湾側はこの東沙諸島や太平島に軍を常駐させているため、中共もなかなか手を出せないという情況のようです。と言うのも特に東沙諸島に関しては、台湾南部の空軍基地からF16戦闘機が飛ばせる範囲に存在しているため、もし解放軍が東沙諸島を奪取するような動きがあれば、戦闘機を飛ばして先制攻撃ができるという体制にあるため、現在は解放軍は大量の軍艦で東沙諸島をウロウロしている状況であります。

では、我々日本人としてなぜここまで南シナ海の情勢を注目しなければならないのか?というと、日本の石油は中東から毎日タンカーで運ばれております。石油は経済の血液と言われるくらいとても大切なものであり、通常どのルートを通っているかと言うと、南シナ海を通っているとのことです。そのシーレーンが切断された場合、どれくらい日本に影響があるのか?という事も含めて南シナ海について注目すべきで、そこで現在我が物顔で軍拡を行なっているのがと中共でございますから、台湾が東沙諸島、太平島に軍を派遣して対抗していることは日本にとってもプラスになっていることを知ってほしいことかと思っております。ちなみに、もし南シナ海に何か問題が発生して航行できないとなると、このようなルートを通らなければいけなくなり、輸送コスト、日数が増えてしまうという形になるようです。つまりはガソリンなどが寝あがってしまうという事になります。

フィリピンが赤くなると青いシーレーンの確保も危うくなる

そして、今回のニュースでは、フィリピンが何とか中国の脅威に気が付いたのか、一時的に中国と距離を置いているのかは分かりませんが、いずれにしてもフィリピンが中国側につくようなことがあればこの予備のルートと言いますか、フィリピンの東側のルートも危険になる可能性が高くなってしまうため、私としては今回のドゥテルテ大統領の判断は、日本の国益にとっては正しい判断だと考えます。もし違うようでしたらコメント欄に書いていただければと存じます。
すみませんね、最近なかなかコメント欄に返信ができずにおりまして。ただ、コメントはありがたく拝見させていただいております。


いやぁ、中国の軍拡についてほとんどのメディア、特にテレビでは触れていないというのは本当におかしな状況ですよね。先程述べた事から台湾の国防が日本の国益にも結び付いているという事、お分かりいただければ幸いです。
  また、ちょっと話はずれてしまうのですが、最近思うこととして、台湾では、バラエティチャンネル、ニュースチャンネル、経済株式チャンネル、ドラマチャンネル、映画チャンネルなどようにケーブルテレビが発展しており、多種多様なチャンネルを視聴者が選べる環境にあるため、欲しい情報がいつでも手に入れられますが、日本はYouTubeなどがなければ、夕方のニュース、7時のニュース9時のニュースなど、決められた時間で且つテレビ局の都合の良いニュースばかりしか流さないニュース番組でしか得られないと思います。YouTubeに関しても24時間ニュース番組をライブ配信している台湾のテレビ局が少なくても5~6チャンネルあることに対して、日本で24時間ライブでニュース配信しているチャンネルはあまり見かけませんので、はやくこうした24時間でニュースをライブ配信するようなチャンネルが出来ないかなぁと思うこの頃でした。

※台湾のメディアの立ち位置については、以下で解説しています。
https://asia-news.tokyo/06-12-648/

2020年6月12日 編集・翻訳(八度 妖)

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