中共統一戦線部に制裁 米国議員が韓正に照準

とうとう米中関係が修復不可能になりかねないカードをアメリカが切ってきましたね。日本のメディアでは報道されていないニュースのようですのですが、台湾メディアでは取り上げられていたので、またまとめてみました。まずはニュースを和訳いたしました。
毎度お馴染み自由時報より

中共統一戦線部に制裁 米国議員が韓正に照準

  米国連邦下院の共和党の保守党員で作られている「共和党調査委員会(Republican Study Committee)」は、10日「米国と世界の脅威に対する強化」についての報告書内で、米国国会は中共中央統一戦線工作部(以下「統戦部」)による米国での活動を禁止し、且つ統戦部と中国政府職員、最高幹部である中共中央政治局常務委員・中央香港マカオ工作領導グループ主任兼国務院副総理の韓正氏に対して制裁を行なうことと報告している。
  共和党のマイク・ジョンソン(Mike Johnson)下院議員は、中国共産党が織りなす脅威が長く続いていることに注意しており、今回の武漢肺炎の大流行によって全世界が中国の脅威に気が付き始めたと述べた。報告書では、中国政府は統戦部を通して米国に滞在している中国人を利用して騒動の扇動、監視、篭絡を行ない、更には中共体制に潜在的な脅威を与える如何なる対象に攻撃を加えていると指摘している。共和党研究委員会は国会に新部門を設立し、中国が発するネット上のフェイクニュースと統戦部に対して制裁を加え、且つ迅速に「南シナ海・東シナ海制裁法案(South China Sea and East China Sea Sanctions Act)」を可決し、これら争議の原因となっている個人や団体に制裁を加えられるようにすべきだと呼びかけた。
  「共和党研究委員会」は約150名の国会議員からなる組織である。この報告書では、習近平の権威主義(独裁や専制)が絶え間なく拡大している中、中国の人権と自由を脅かすだけではなく、今や世界中に脅威を与えていると警告している。中共が経済や軍事力を通して世界中に影響を与えており、人間が生まれながら持つ人権による政治体制を完全否定している。
(中略)
  中国がチベット、ウイグル、香港の人権侵害に対して、米国政府は「グローバル・マグニッキー人権責任法(The Global Magnitsky Human Rights Accountability Act)」に基づいてチベット自治区党委員書記呉英傑、新疆ウイグル自治区書記陳全国、中央政府駐香港連絡弁公室主任 駱恵寧、政治局常務委員 韓正、公安部部長 趙克志らを含む人物が制裁すべき対象としてリストに名を連ねている。
  また報告書では米国国会は中国政府の資金提供を受けている学生に対して査証を公開を求めることを制定すべきで、並びに中国政府職員、人民解放軍人、中国高級官僚及びその直系の親族の査証を停止し、中国が再度米国の大学や研究機関から知的財産を窃取させるべきではないと書かれている。米国にある孔子学院に至っては、則ち駐米中国国営メディア機関と同様であるとされており、「外国代理人登録法」によって登録されている。
  台湾に関して、報告書では、国会は国務省は台湾が世界保健機関(WHO)にオブザーバーとして復帰できること、トランプ政権が台湾、フィリピン、インドネシア、ケニアなどの国と自由貿易関係を構築し、中国がアフリカで勢力を拡大していることに歯止めをかける戦略を制定すべきであると述べている。台湾との自由貿易協定への署名は台湾の中国5G通信設備、ハイテク研究開発、観光業、金融業に対する依存を低下できるとしている。

はい、以上が記事の和訳でした。

  この共和党調査委員会RSCが出した報告書がもし実行されるような事があるとすれば、米中関係は修復が不可能な状態になると言われております。しかも、今回の報告書には、ニュースの中にあった韓正、呉英傑、陳全国、駱惠寧、趙克志以外にも、政治協商会議全国委員会主席の汪洋、中共国務院香港マカオ事務室主任の夏宝竜なども含まれておりました。

  台湾メディアは、武力による対抗策以外で最も中国共産党にダメージを与えられる方法として挙げられているのが、党幹部の海外資産を凍結することだと言われており、今回その一歩手前とでもいうのでしょうか、実際に凍結させるには「南シナ海・東シナ海制裁法案」を国会で可決させたりするなどの手続きが必要ですが、米国国会において、具体的に共産党幹部の具体的な名前が挙げられたという事は、米国がいよいよ中国に宣戦布告の準備が出来ているという言わばかなり効果的な牽制を行なっている状態でございます。
今回名前を挙げられた人たちの立ち位置を簡単におさらいしましょう。まずは韓正。この人は政治局常務委員ということでチャイナセブンと言われる、習近平や李克強などと並ぶ、中共を仕切っている人であります。そして汪洋、こちらもチャイナセブンの1人でございます。

  ちなみに今回名前の挙がった幹部は、海外に相当な資産を有しており、もし資産を凍結されたとなると、米国は凍結した資産総額を公表するでしょうから、それに対してこれら幹部は抗議の声も上げられない状態になります。アメリカは個人資産を凍結する悪い国だ、と訴えても中国人民は「そうだ、アメリカは悪い国だ」とはならずに逆に「なんでそんな資産があるんだ、我々に回してくれないのか?」となるのは間違いないと思います。また、トップクラスの幹部となるとその幹部に群がって、若干の海外資産を有するそれより下の地方クラスの幹部もいることでしょう。トップクラスの幹部の資産が凍結されるという事は、地方クラスの幹部の資産凍結はもっと簡単に行えるわけで、今回の名指しの制裁対象リスト入りは、これらの下級、中級クラスの幹部をも震え上がらせるほどのインパクトのある法案なのでございます。具体例をあげてみましょうか。

韓正 中央政治局常務委員

  政治局常務委員の韓正ですが、メディアの報道によると韓氏の豪州、ニュージーランド、カナダも含む海外資産はなんと31億米ドル、単純計算で3100億円となり、米国当局はこれらの資産を全て把握していると言われております。そして彼と関連する人物は非常に多いわけで、韓氏は上海幇(しゃんはいバン)とよばれる中共非公式の派閥をまとめる役目だとも言われております。その中にはかつて政界で活躍した江沢民や曽 慶紅なども含まれております。つまりは、今回米国に名指しで制裁対象にされたということは、上海幇に属しているとされている人物も制裁対象になるかもしれないという意味を持っている訳でございます。名前が「上海幇」というだけあって、経済で発展した上海の共産党員の殆どがこの上海幇に入っていると言われております。どれくらいの人数になるのでしょうかね。牽制と言う意味では本当に強力な手段であることは間違いないことがお分かりいただけたかと思います。

汪洋 政治協商会議全国委員会主席

  次に、汪洋氏ですが、海外向けの工作を行う統戦部に大きな影響力を持つ人物であり、かつ、彼は中国国民から見ると非常にクリーンなイメージを持つ人物であります。まぁ実際にクリーンではないのですが、そんなクリーンなイメージを持つ汪洋ですら制裁対象に加わったという点、そして汪洋氏が海外への浸透工作という重要な任務を担っている中央統一戦線工作部に大きな影響力を持っている点で、非常に大きな意味を持つわけでございます。

夏宝竜 国務院香港マカオ事務室主任

次に国務院香港マカオ事務室主任の夏宝竜。彼は習近平派閥に属する人物であります。つまり、韓正氏は江沢民派、汪洋氏は海外浸透工作のトップである統戦部、夏宝竜氏は習近平派閥ということで、中国共産党の殆どのグループに属する人につながることができる人物を押さえたという事になります。ですので、冒頭で述べたように、この制裁を行なうということは、中国共産党がハチの巣をつついたような騒ぎになるのは確実でございます。そして、仮に本当に資産を凍結したとなると、それを解除するにはこれら個人が米国と直接訴えを起こさなければならないという状態であり、ひっくり返すのはほぼ無理であろうと言われております。


  ちなみにこの報告書にあった関係図を見ると、一番上に習近平がいますが、その下の汪洋氏、韓正氏など要所要所に対して制裁を加えようとしている訳でございます。しかも今回はあくまでも手持ちのカードを少しずつ出しているにすぎないでしょう。今回選ばれた人物は丁度米国が重視しているチベット、ウイグル、香港に絡んでいるためでありますが、今後は李克強や習近平や残りのチャイナセブンの人物にも制裁を加えられる可能性を持っている訳でございます。つまりは今回の法案をちらつかせることにより、中国側の対応を見て、米国にはまだまだ強い手持ちのカードがあることを暗に見せているという状態のようです。

  ちなみに、中国共産党幹部もそういう事を見越して、自分名義の資産としてではなく、親戚や知人、法人などの名義を使って資産を分散させているようですが、米国にとっては、逆にそれは、幹部と繋がっている人たちを洗い出すのに使っているようです。というのも今回の制裁するお題目は「チベット、東トルキスタン(所謂新疆)、香港の人権に対する制裁」であるため、名指しされた幹部と少しでも関係があると判断されれば、第三者の名義であっても制裁が可能になると言われてるようです。
人によっては、命より金の方が大切だという共産党員もいます。また金があるから繋がっているというビジネスマンも多くいるようで、この制裁が行なわれると恐らく、金の切れ目が縁の切れ目ということがあちらこちらで発生すると思われます。ということで、これだけ中国共産党にインパクトが大きいニュースにも関わらず日本のメディアでは殆ど取り上げておらず、取り上げられたとしても、中国に与える影響を伝えておりません。私はたまたま中国語が出来、台湾メディアを毎日視聴しているので、知ることが出来ましたが、今日ご紹介したのは本当にごく一部で、恐らく全部をお伝えするとなると恐らく1時間近い動画となってしまいますので、だいぶ端折りながら動画にしてみた次第でございます。皆様のお役に立てれば幸いかと存じます。


いやぁ、2018年に豪州で発行され、5月末に和訳された書籍「サイレント・インベージョン」日本語名「目に見えぬ侵略」を読んでいますが、海外における浸透工作は「中央統一戦線工作部」が担っていることが理解できます。そして、そのとりまとめ役である汪洋氏が制裁対象に名前が挙がっているという影響の大きさを少しでも日本語のニュースでも取り上げていくべきだと思った次第でございます。なかなか動画の更新頻度が上げられず申し訳ないと思っておりますが、今後も引き続き台湾メディアで報じられているニュースを取り上げて動画にしていきたいと思いますので、今後とも御愛顧のほどよろしくお願いい申し上げます。

2020年6月15日 編集・和訳(八度 妖)

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