中共による台湾浸透工作の6つの手口と実例を紹介(1)

  現在、台湾は2020年1月の総統選挙で蔡英文総統の再選が決まり、なんとか自由民主の砦が陥落することは免れ、現在は国民の大半が反中という意識を持ち始めましたが、2018年年末の統一地方選挙では民進党が大敗し、且つ今まで民進党の牙城であった高雄市の市長選で国民党の韓国瑜氏が勝利するという驚くべき結果の背後には中国共産党の浸透工作があった事はご存じかと思います。そんな浸透工作の台湾での事例をご紹介しながら、日本の状況も併せてご紹介したいと思います。

  ただ1点、強調したい事としては、大前提として、日本の国家安全保障は台湾の国家安全保障と連動しているということを理解しなければなりませんが、恐らくこのタイトル・サムネイルを見て、クリックした方は、そんなことわかりきっていると思います。しかし、私のチャンネルをご覧になる方の半分くらいはチャンネル登録をされていないので、一言で説明させていただきますね。

  台湾の危機は日本の危機、日本の危機は台湾の危機であり、好き嫌いの感情で「台湾とは距離を置くべきだ」とか、「台湾は所詮漢民族だから日本を裏切る」なんて思ってしまったら、中共の思う壺だということです。

では早速台湾の事例6つを紹介して参ります。

1つ目、選挙に介入して浸透する方法、例 重要人物の中国旅行招待

  台湾において親中的な政治勢力を増やしたり、中共の対台湾政策を広めたりするために、また親中的な人物を政治に参与させるために、政治家や活動家、芸能人、コメンテータ等、場合によっては親中になりそうな団体、つまりは一般人をも含みます、そのような人たちを中国へ招待し熱烈な歓迎やおもてなしをする「綁樁之旅(ほうとうしりょ)」と呼ばれる手法が挙げられます。

中華婦女連合会の訪中旅行の様子

  実例を挙げると2020年1月上旬に行われた総統選挙及び立法院議員選挙において、中華統一促進党の比例代表区候補者であり、中華婦女連合会理事長の何建華氏とその利害関係者24名が2019年12月18日~22日の間「2019年 文化交流会」という名の下でアモイを訪問し、中国側からの接待を受けておりました。ちなみにこれは選挙法違反となっております。ただ、中華統一促進党は泡沫候補と言われ、現在国会はおろか、地方自治体の首長や議会の議員もおらず、政党というよりも政治活動団体と言ったら良い状態なのが不幸中の幸いというところでしょうかね。これは今でこそ、台湾国民が反中共という立場を鮮明にしたから中華統一促進党が泡沫政治団体であるのですが、2014年の地方統一選挙では地方自治体議会の議員に2名ほど当選するなど、じわじわと浸透工作の成果が出ていた時期もあるので、注意が必要かと思います。

  ちなみに、日本で2009年に大訪問団を組んで訪中したことがありましたが、それ以外にも現在与党の自民公明に属する議員も「日中交流」という名のもとで、訪中しているところがあるので、日本に対してもこの手法が使われていると感じますね。

2009年の訪中の様子(らしい)

  もちろん日本と中国の関係を完全に断ち切るのは難しい事ですが、国会議員の先生方や大企業の経営者には「中共がならずもので常識が通用せず、虎視眈々と日本の支配をねらっている」という点を忘れずに交渉などを行なってほしいものです。

  また、中国へご招待という方法以外にも、中国で商売をしている台湾企業、特に影響力のある大企業に対して脅したり、圧力をかけたりして、中共に有利になるような発言をさせたりしております。実例を言うと、台湾プラスチック集団の総裁王文淵氏が2011年12月28日に、EVA航空や貨物のEVERGREEN社を有する長栄集団の総裁張栄発氏が2012年1月3日公の場で「一つの中国に対する共通認識の合意」と言われる「92年コンセンサス」を認めている立候補者を支持すると表明しました。またHTCの董事長王雪紅氏も2012年の総統選投票日前に記者会見で「もし92年コンセンサスが無ければ、台湾は非常に不確定な社会である」と明言しました。つまりは、経済面で影響力のある人物に対して脅しや圧力をかけて中台統一という風潮を民衆に植え付けようとしていたことが明らかになっております。

  これ以外にも、台湾は期日前投票が出来ないので、当然海外在住者も在外投票制度もあるわけではないので、選挙の際にはこぞって台湾へ帰国し投票するという状態です。そこにつけこみ、中国にいるビジネスマンとその家族に対して格安のチケットを提供して台湾へ一時帰国させて特定の候補者へ票を流そうとしている事も明るみになっております。

  例えば、台湾との事務的窓口である国台弁は中国の全国台湾企業聯宜会、つまりは中国にいる台湾企業の連絡会という組織ですね、それに対して、中国の航空会社によるチャーター便を提供し、「選挙と春節キャンペーン」という名の下で市場価格の半額に近い形で航空券を提供しておりました。また、台湾籍の従業員に休暇を与えたり、航空券への補助金を出したりして、台湾の選挙に少しでも影響を与える ように工作をしていたことが知られるようになりました。

  幸い日本では在外投票制度が確立されており、このような手法を用いる事が出来ませんが、経済界の重鎮などを利用して、中国の経済成長は素晴らしく、輝かしい未来はある、という幻をみさせて、国民を親中にさせるという手法を行なっていると考えるが妥当かと思います。妙佛DeepMaxさんも仰っていますが、中国経済に幻想を抱くのはやめて、そろそろ中国でのビジネスから別のところへビジネスを移すことを考えなければならないと私も思います。

はい、以上が選挙への介入に対しての中共の浸透工作でした。日本はどの程度進んでいるんでしょうかね。私個人的には中共を支持する議員や政党が与党に存在している時点で台湾よりも酷い状況なのかもしれないと考えます。

  またちょっと話が脱線してしまいますが、言論人という部分、特にネット社会においては、最近、愛国を謳いながら、実はその人の言動を見てみると日本と台湾を分裂させたい中共の利益に加担しているような発言が見られるケースが増えています。具体的な内容を言うと、その言論人のファンに攻撃されるので、申しませんが、いずれにしても、台湾を乏しい根拠で貶めようとしている言論人がいるのは事実であります。台湾を過度に褒めるような言論に疑いの目を向けるのは構いませんが、正当に評価しようとする主張、デマを指摘する主張に対しても、「台湾政府、台湾人、台湾企業は結局怪しい」と反論することは、中共の片棒を担いでいるのと同じだという事、認識していただければ幸いです。


2つ目ですが、台湾人によるロビー活動や政府への圧力となります。

中共は台湾の民間団体を通して台湾政府の対中政策を改めるよう操ろうとしております。長年にわたり、正常な経済貿易や文化交流を中断させたり、台湾国内の民間組織や民間企業に対して政府に圧力をかけるよう迫っております。

例えば2016年に民進党が与党になった後、92年コンセンサスはそもそも無かったと表明しましたが、中共はそれに対して、中国からの観光客を大幅に減らし、台湾観光産業に大打撃を与えました。それにより2016年9月には政府に対して強硬な対中政策を止め緊張状態を緩和するよう求めた抗議デモに1万人の台湾人、特に観光業に従事している人が参加していました。

また2019年に政府が推し進める「反浸透法」に対して、中共は全国台湾企業聯宜会、先ほども出てきましたが、中国にある台湾企業の連絡会みたいな組織を通してこの法律の成立への反対を表明させたり、また親中メディアを通して反対する記事を書かせたりしておりました。

メディアという点に関しては、日本は台湾よりも中共による浸透工作が進んでいると私個人的には感じます。台湾には反中共を鮮明に掲げるメディアが複数存在しており、親中的視点、反中共的視点でニュースを読み解く事ができますが、日本は殆どのメディアが中共に不利なニュースをスルーしたり、大きなことを些細なことだと伝えたりしておりますので、メディアへの改革が必要なのでは?と思っております。また、残念なことに、TVや新聞が親中的な主張や記事が多いと気づいた人々が、情報を得る場所としてネット社会に移行したものの、デマやフェイクに気が付かず鵜呑みにすることが後を絶たないような気がします。台湾もそうなのですが、マスコミ以外にもネット社会においても所謂五毛党やインフルエンサーを通して浸透工作をしているんだと考えられます。これは3つ目の手法と重なる部分にもなりますね。

では3つ目。先程もちらっと述べましたが、台湾の輿論を操るために台湾の大手メディアや小規模メディアに対して、台湾政府、つまりは民進党政権の批判と中共に有利な内容を流すよう報道内容の指導を行なっております。

実例を挙げると「中国旺旺集団」は2007年から2017年までに中共からの補助金152.6億元、日本円に換算すると約530億円を受領していることが明らかになっております。旺旺集団は新聞では中国時報、テレビでは中天新聞などを有するグループであり、フェイクニュースや中共プロパガンダを流すメディアとして有名です。先日香港で廃刊となったアップルデイリー、蘋果日報の台湾版の2019年7月11日の記事では「紅い浸透」23社の台湾メディアが蔡英文批判、中共官報メディアと一字一句違わぬ内容」という見出しと共に「中共がメディアに対して指導を行なったことに触れており、その内容が7月9日に中共の台湾連絡窓口である国台弁が掲載した台湾政府を批判する内容と同じであると説明しておりました。

では、日本のメディアはどうでしょうか?英国guardian紙の記事では中共プロパガンダを折り込み広告として頒布している新聞社として毎日新聞を例に挙げているように、中共のプロパガンダ機関になっているメディアが毎日新聞や朝日新聞、NHK、テレビ朝日など多く存在しております。

※ガーディアン紙は毎日新聞の発行部数を6.6mと表現している事より朝日新聞と毎日新聞を間違えているのは無いか?との指摘もあります。

更には先ほど述べたように台湾には反中共の立ち位置が鮮明な大手メディアがある事に対して日本の大手メディアでは日中記者協定の影響なのか分かりませんが、強烈に中共を批判するような大手メディアが殆どないのが現状かと思います。それが故に、TVや新聞しか見ないような日本人は、中共の脅威はもちろん、今まさに日本が中共に浸透されつつあることすら気が付かない状態であるという点、本当に心配であります。

“中共による台湾浸透工作の6つの手口と実例を紹介(1)” への3件の返信

  1. こんにちは。知らないことが多くて学びになります。

    ところで、「綁樁之旅」という言葉が紹介されていますが、
    これの「樁」の読み方は「チン」ではありません。
    チンと読むのは「椿」(U+693F) の字です。
    「樁」(U+6A01) はトウなどと読みます。

  2. 上のつづきです。(以下、やや細かい話。)
    上でトウ「など」と書きましたが、「樁」の読み方は字書によって微妙に異なっています。

    ●講談社『新大字典(普及版)』
    読み
    [一] (漢音)トウ(タウ)、(呉音)トウ
    [二] (漢音)ショウ、(呉音)シュ

    字義
    [一] くい(くひ)(名)。
    [二] つく。

    ●大修館書店『新漢和辞典 新装大型版』
    トウ(タウ)、チョウ
    (※意味による読み分けは書かれていない)

    「綁樁」の場合は「くい」の意味だと思うので、トウがおそらく一番妥当(無難)だと思います。

    以上です。

    1. ご指摘、誠にありがとうございます!!よ~く見ると異なる漢字ですね。
      先程「トウ」へ訂正いたしました。

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