リトアニアに台湾代表機関を設置、中国は大使を召還

  今日は、台湾とリトアニアの双方が代表機関を開設するというニュースがありましたが、これは意外と大きなニュースであるというであるということを簡単に解説したいと思います。

  まずこのニュースで注目すべき点は、このニュースが発表されたのが7月20日。それにすぐに反応したのがあの目つきの悪い趙立堅報道官。断固反対だ!といつもどおりの主張。ところが、そのあとすぐにトーンダウン。それで、先日8月10日、駐リトアニアの中国大使を本国へ呼び戻すという華春瑩報道官の発表。なぜこんなにも間が空いてしまったのか?という点は、台湾の専門家の分析では、オリンピックが原因の一つではないか?と言っておりました。これは、平和の祭典だから、争いごとを避けようという原因ではありません。なぜなら、オリンピック開催中も中共軍機が台湾の防空識別圏に何度も侵入しておりますし、尖閣諸島の接続水域にも近づくなど、オリンピック期間中だけは静かにしておこうなんて気はさらさらないからです。では、なぜオリンピックが原因なのか?というと、中国の内政に大きな問題を抱えているという点が考えられます。つまりは、国民が不満を持っている場合に、その不満を別の方向へ向ける方法と自国の外国が強い事をアピールする方法があると思いますが、オリンピックは前者、そして今回大使を本国へ呼び戻す行為は後者となります。

  ですので、7月20日に台湾、リトアニアの双方で代表機関を設置するというタイミングから見ると、とりあえず抗議しといて、その後は国民の注目をオリンピックに向かせて、その後に大使を呼び戻すということをすれば、国民に戦狼外交をやってるぞアピールが出来るわけです。つまり裏返せば、現在の中国においては、内政をうまくコントロールするための手持ちのカードが少ないとも言えるわけです。もちろんオリンピック開催期間中にも両国の間には色々な動きがあったので、オリンピックという理由だけで大使の呼び戻しが閉幕後になったのかという訳ではありませんが、いずれにしても、大使を呼び戻すというのは1995年李登輝総統が訪米した際に抗議の一環として駐米大使を呼び戻した以来26年ぶりとなりますので、中国にとっての大きな影響のある出来事であることが読み取ることができると思います。

  ちなみに中国が大使を本国へ呼び戻したのは今回のリトアニアを含めて全部で三回あり、残りの1回は1981年オランダ政府が台湾向けに潜水艦(海龍級潜水艦)を製造する事を決めたことに対して大使の呼び戻しを行ないました。つまり過去3回の大使召還の理由はすべて台湾に関係しており、如何に中国が台湾に対して敏感になっているかが明白ですよね。


  さて、なぜ中国がリトアニアという人口280万人程の小さな国が台湾代表機関を置く事を恐れているのか?というと、こちらは外交だけではなく、経済も少し関係してくるからだと言われております。

  まず、外交的な面で言うと、リトアニアはEU加盟国であるという点が挙げられます。つまりはもし今回のリトアニアが今回の大使の呼び戻しに動じず、そのまま台湾と国交を結んだとすると、その後に中国の外交に不満を持ち、そして台湾ともつながろうとする他のEU加盟国が同じような事を起こしてしまう可能性があるわけで、中国はこれを一番恐れている訳であります。また中国はリトアニアにいる中国大使を呼び戻しましたが、それとともに、中国にいるリトアニア大使を自国に帰れと要求しております。断交したわけでもないので、自国内にいる大使を追い出すことはできないので、あくまでも要求レベルの話なのですが、中国メディアは大々的に「我々に敵対する国の大使を駆逐した」と宣伝しております。駆逐なんてしてないのに、駆逐したなんていう中国メディアとそれを信じる国民、なんだか哀れですねぇ。

  そして今度は経済面に関してですが、こちらはリトアニアが中国向けに輸出する金額ですが、22番目の相手国ということで、仮に中国がリトアニアに経済制裁を課したとしても大きな痛手はないということもありリトアニアが強気に出ていると考えられます。特にリトアニアはレーザー技術が強く、半導体製造の最大手のTSMCが現在使っている最先端の半導体製造装置の中で採用されているレーザー関係の設備はリトアニア製だと言われております。ですので、これから半導体製造業は更に発展していくでしょうから、仮に中国がリトアニアに経済的圧力をかけたとしても、22番目の貿易相手国ということもあり、リトアニアは殆ど影響を受けないのであります。だって中国製でなければならない、というもの何かありますか?経済的圧力って恐らく、輸出を止めるとか、値段を吊り上げるというような感じですよね。経済制裁すれば自分で自分の首を絞めているようなもので、貿易額こそ少ないものの、また世界中に中国のイメージを落とす行為となるため、経済制裁というカードも使えない状態なのです。

  いずれにしても中国国内は現在水害による被害、そして日本ではあまり報道されておりませんが、疫病の広がり、それに対する政府の対応の悪さに不満を持つ民衆が出てくるのは明白ですから、「リトアニアの大使を駆逐した!」なんて見え透いた嘘を中国メディアで大々的に報じている訳であります。

  最後に、素人ながら中国政府のアドバイスを申し上げるとすれば、中国はリトアニアと断交した方が良いと思います。リトアニアの歴史を振り返ると、古くは中世から、そして第二次大戦中にはソ連とも戦い、多くの犠牲を払ってまで国を守ろうとした国民がいるわけで、陸地でつながっている当時の大国ソ連にすら立ち向かおうとするリトアニア国民が経済的にも地理的にも影響の少ない中国を恐れるわけがありません。であれば、面子を重んじる中国様は、自らリトアニアと断交した方が示しがつくわけではないですか。でないと、「あれれ?中国さん、台湾は中国の一部だと言っているのに、なんでリトアニアに台湾代表機関があるんですか?」なんて突っ込みを受けちゃいますからね。

  いずれにせよ、今回リトアニアが台湾名義で代表機関を作る事は、EU加盟国の中で最初であること、ちなみに他の国は日本にある代表機関と同じように「台北」を名乗っております。

  そして、中国と国交を結んでいる世界中の国の中で唯一台湾の名前で代表機関を作ったのがリトアニアとなります。以前ソマリランドが台湾代表機関を設立しましたが、ソマリランドは中国と国交を結んでいるわけでもないですし、国際的に国家として承認されていないので、今回のリトアニアの台湾代表機関設置は非常に大きな意味があるわけなのです。そしてもしかしたら、これに続いてエストニア、ラトビア、はたまたリトアニア大公国時代に領土内であったポーランドもこれに続く可能性があるわけで、中国共産党の崩壊を望む私としては目が離せない状況になってきたと思っております。

  ただ、恐らくですが、中国としてはリトアニアと断交する決断を下すことは、経済的にも、外交的にも実質出来ないと思われます。中国国民のガス抜きをできる対象が見つかり次第、そちらに力を向けて、こっそりと大使をリトアニアに戻すと思います。本当に面子を重んじる国というか面の皮が厚いというか、こういう国とそれに似たような国が隣にある日本は本当についてないですよね。

2021年8月12日 編集・翻訳(八度妖)

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