新パスポートの表紙 時代力量:肯定するが、国章は受け入れられない

  2020年9月2日、台湾が新しいパスポートのデザインを発表しました。これは、今年初めから続く世界規模の流行り病の影響で、台湾は早々と抑え込みに成功し、マスク不足が叫ばれる中、何千万枚ものマスクを世界中に寄付するという行為を行なっていたのですが、その際に、航空機が中華航空、チャイナエアライン、そしてパスポートにはRepublic of Chinaと書かれている訳で、台湾と中国の関係を知らない人から見たら、「China」に映ってしまう状況が続いており、せっかく良いことしても、チャイナというイメージがついてしまうため、変な目で見られたり、歓迎されなかったりしておりました。そして、民間人においても、今はこういうご時世ですので海外旅行は難しいものの、今後流行り病が終息した際に、台湾人が海外に出てもパスポートを見られたさいに、不利益を被る可能性が出てきたために、7月にパスポートからChinaの文字を消すという法案が可決され、9月2日にパスポートの新デザインが発表されたという流れになっております。

わかりやすく言うとカリブ海にあるドミニカ共和国とドミニカ国がどちらがどういう国か?ということを日本人があまり知らないように、アジア以外の人からしたら、People’s Republic of ChinaなのかRepublic of Chinaなのかが分からないという状態であるということでございます。はい、では早速現行のパスポートと新デザインを比較してみましょう。

左が現行パスポートで右が新しいデザインのパスポート

  台湾の文字がかなり大きく書かれるようになったものの、漢字圏の日本人の目から見ると一番上に「中華民国」と書いてあり、真ん中には国民党の党のシンボル青天白日をモチーフとした国章があしらわれているので、台湾にそれほど興味を持っていない人にとって見れば、あまり変わらないと感じるかもしれません。しかも、今回の発表で民進党支持者と国民党支持者からは色々と批判が出ておりました。まずは、新デザインのパスポートが公表されたことについてのニュースを民進党寄りのメディアである自由時報の記事を和訳したいと思います。

  行政院(内閣に相当)は今日(9/2)「新しいパスポート表紙」に関する記者会見を開き、新しいパスポートの表紙を公表した。英字の「TAIWAN」が大きくなり「Republic of China」が非常に小さくなり、国章の周りにあしらわれる形となっている。これに対し時代力量の国会議員らはパスポートに台湾の名前が大きく記載されるようになったことは高く評価したいが、中国国民党の党章と非常に似ている「国章」が表面に残っていることは受け入れられないと表明し、国章国旗法の修正をし、国章がもっと台湾だと分かるものにするべきだと表明した。

  時代力量の国会議員らは今日、新デザインのパスポートの「TAIWAN」の文字が大きくなり、「Republic of China」が小さくなり、我が国パスポートの認識度が高くなったことを評価した。また与党と行政官僚が一番保守的な改革方式を採用したことと、現行から「変更点を最小限度で抑えた点」は理解できると述べた。

しかしながら、時代力量の議員らは、野党にいる身として、国際民間航空機関(ICAO)の「正式な国名を情報ページに含まなければならない」という規定について、パスポートの表紙は含まれていない点を提言した。多くの台湾国民がパスポートの表紙から「中華民国」から「台湾」へと変わることを期待している。

それ以外に、時代力量の議員らは中国国民党の「党章」と極度に似ている「国章」が残っていることは受け入れがたいとし、次回国会において台湾をもっとイメージできる絵図に変更するために、国章国旗法を修正する法案を提出する予定だと述べた。

時代力量の議員らは、次は中華航空の名称変更があると呼びかけており、この改革はパスポートの表紙よりも進んだものにするべきで、さもなければ現在台湾を訪問しているチェコ議長が「CHINA」の飛行機に搭乗したと誤認されたかの如く、マスクを寄付しても誤認されてしまうと主張した。


2020年9月2日 編集・翻訳(八度 妖)

  台湾には未だに数百万人と言われる国民党支持の人々が存在する為、パスポートの表紙から「中華民国」と「Republic of China」、そして国章を取り除くと、厳しい批判が寄せてくるのは当然かと思います。しかも、民進党支持者の中にも「中華民国と言う枠組みの中で中国とは違うことだけが分かれば良い」と主張する所謂現状維持派の支持者も少なくないので、大改革という訳にもいかず、今回のような最小限の変更となったと考えられます。
  ただ、台湾独立派の人から言わせると、中華民国と言う漢字4つがデカデカと残っており、小さくなったもののRepublic of Chinaも残っており、更にはシャンプーハットのような国章も残っているので、不満があるのも事実でありますが、万人が満足するデザインをすることは不可能ですので、今回の新デザインは、すべての考えを持つ人にとって満足のいくものではないものの、大きな不満もないという妥協点の賜物ではないかと思います。

  また、「中華民国」という4つの漢字がデカデカと残ってしまっているものの、英語の国名に関しては国民党自身も「虫眼鏡を使わないと読めない」と主張していることから、漢字圏以外の人たちからChinaと思われることを避けることができると考えられるので、この部分は高く評価すべきなのかもしれませんね。

ちなみに、蔡総統はこのデザインについて次のように述べております。

  いずれにしてもパッと見てCHINAの文字が消えたことは本当に小さな一歩かもしれませんが、大きな意味を持つことだと私は考えます。台湾人が台湾人として認識されることは、このご時世では非常に大切な事かと思います。

ちなみに台湾にはKUSO文化というものが2006年頃から始まっております。これは何かというと、まずはこちらの写真をご覧ください。

https://twitter.com/AntiChinazi_jp/status/1301150365249933313
私の台湾・中共関連の情報元であるアンチチャイナチ学院さんのツイートより

  これはパスポートの表紙に未だに国民党の党章に似た国章が使われていることに不満を持つ台湾独立派の人たちが、国民党の党章を蟯虫セロファンのように見立てて作ったコラージュ写真なのですが、こういうパロディなどをKUSOと呼んでおります。これは「クソゲー」に由来するもので、「くだらない」「ひどい」という意味から派生して、今では「厳格なテーマを分かりやすく風刺するためにするための悪ふざけの投稿」というような形で使われるようになっております。日本で言うとこんなような投稿がKUSOに当たりますね。


  さて、ニュースにもあったようにパスポートは満点ではないものの、TAIWANという文字が容易に認識できる形へと変更されたので、次は中華航空の名称となります。KUSO投稿では、こんなような投稿が行なわれておりますが、噂ですが9月末には新しいデザインがお披露目になるとも言われております。社名を変更する事に関しては、中共とのフライトを拒否されるなど、色々と中共からの嫌がらせがあるみたいなので、台湾独立派が納得するような形にはならないと思いますが、今回のパスポートのようにきわどいギリギリのラインを狙った方法を取る事に期待したいと思います。

同じ内容ですが、YouTubeにもアップロードしております

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