恐るべし!武力威嚇だけではない中共の対台政策

ここ数日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に解放軍軍機が百数十機進入してくるというニュースが日本でも報道され、YouTubeでは「台湾有事」、「中台全面戦争」という物々しい言葉を目にすることが増えましたが、その多くが日本メディア、欧米メディア、中国メディアからの情報を元に分析しているものが多いように感じられます。台湾メディアはどのように発信しているか?というと、正直日本や欧米メディアと殆ど変わらない部分が多いのですが、一点だけ違うのが国内情勢も交えながら伝えているという点です。

日本や欧米メディアに関しては武力的な部分を中心に伝えておりますが、台湾国内においては、国民党の動きを交えて伝えているという点が異なるかなぁと思い、ブログにしてみました。


レビュー数を稼ぐには台湾と中国はバチバチに火花を散らして~、いついつ戦争が開始する~、みたいな内容はレビュー数が伸びるのですが、私はそれよりも知ってもらいたい事、つまりは武力よりも脅威に感じることに焦点を当てたいと思っております。

それは

合法的に台湾の国防能力を
弱めようと動いている

ということです。

本題に入る前に、台湾国防というと、現在はF16VやM1A2Tエイブラムス戦車を大量に買ったり、国産の潜水艦やミサイルを開発したりと、中国の武力威嚇に対して莫大な予算をはたいて対策を取っている状態であるのは皆さんご存じかと思います。焼け石に水、という声もあるものの、これはやるべきことだと私も思います。しかし、中国国民党は、これだけ差が開いた戦力差を埋めるよりも、中国と仲良くして刺激をしないようにすることこそ台湾が生き残る道だ、みたいな主張をしているわけでございます。なんか日本でもよく耳にする主張に似ていますよね。しかし、本当の中国の姿を知っている人にとっては、約束を守らないような相手にこのような主張は非常に危険であることは、ご理解いただけると思います。最初は仲良くしていてもある日、突然態度を変えて襲い掛かって来るのが中国様なのでございます。

さて、話を元に戻しますが、武力威嚇をすれば、太陽と北風の話のようにすればするほど、台湾側が軍事力を強めようとするのは中国側も分かっている訳です。では、どうやって国防能力を低く出来るか?というと、先ほど申した国民党の主張のように融和路線を広める事と、国防に関わる役職に自分の都合の良い人物を就かせるとうことになりますよね。

では、実際に何をしているか?というと、日本では殆ど報道されておりませんが、現在与党民進党を支持する台湾基進という政党があるのですが、その政党の国会議員に相当する立法委員である陳柏惟さんに対してリコールを問う住民投票が10月23日に行われます。以前「3分で分かる台湾政党」というYouTube動画でも述べているのですが、台湾の国会の113議席のうち台湾基進はたったの1議席しかないので、大した動きではないと思うかもしれませんが、この陳柏惟さんは立法院では、外交、海外邦人、ここでは台湾人ですけど海外邦人に関する業務、国防、退役軍人に関する法案と予算に対してアドバイスや審査を行う「立法院外交及び国防委員会」のメンバーなのです。この委員会は、現在与党民進党が6議席、野党国民党が5議席、台湾基進が1議席、無所属のフレディ・リムさんが1議席となっております。つまりは、陳柏惟さんのリコールが成立すると、その議席が空き、仮に国民党が議席を確保すると、フレディ・リムさんがどちらに投票するかで方向性が変わってしまうという事態になるわけであります。そして、現在フレディ・リムさんに対するリコール運動も国民党主導で行われており、リコール署名が目標数に達するかが注目されている訳であります。

ちなみに、もし10月23日に台湾基進の陳柏惟さんのリコールが成立すると、その選挙区、台中市第二選挙区では誰が立候補するか?というと元々国民党の基盤であった顔寛恒という国民党の議員が立候補して当選するだろうと言われております。顔氏については色々と言いたい事はありますが、一言でいえば当選したらいけない政治家とでも言っておきましょう。

で、2020年の選挙では陳さんの得票率は51.15%、顔氏48.85%と僅差である為、仮に民進党もしくは台湾基進が別の候補者を立てても、当選する確率が低くなると言われております。そうすると先ほど申し上げましたが、国防と外交に関する事項を審査する委員会は6対6+フレディ・リムさんにすることができるわけですし、フレディ・リムさんの選挙区、台北市第五選挙区においてもフレディさんの得票率44.913%、国民党候補が41.9419%と僅差であるため、この選挙区でもリコール署名が目標数に達して、その後の選挙でリコールが成立するとその後の補欠選挙は国民党候補者が有利になると言われております。

もし、陳柏惟さんやフレディ・リムさんに対するリコールが成立し、国民党候補が補欠選挙で当選すると、今後「アメリカからF35を購入する予算を成立させたい」とか「国産ミサイルの開発費を増やしたい」というような予算案が通らなくなる可能性があるわけでございます。つまりはこういう点から台湾の国防能力が危なくなるという見方をお伝えしたかったわけでございます。

台湾独立派議員を罷免しようと躍起になっている中国国民党

戦後から1980年代までは中国国民党と中国共産党は犬猿の仲、隙あらば国民党は中国大陸を奪還したいと考えていたのですが、今や民進党を倒す為ならなりふり構わないという姿勢になってしまい、中共と組んでまで民進党を倒そうとしているわけなのであります。そして現在、先ほど述べた陳柏惟さんとフレディ・リムさんに対するリコールを成立させようと、メディア、特に赤いメディアや国民党寄りのメディア、台湾では青いメディアと言いますが、赤と青のメディアでは彼らに対するデマや歪曲した情報をバンバン流して、政治に興味を持っていない層、つまりは政治を勉強しようとしない層に対して印象操作を行なっております。もちろん民進党寄りや台湾独立派的なメディアはそれを打ち消すような報道をしているわけですが、こういうのってインパクトがある話の方が人々は興味を持つんですよね。

例えば、陳柏惟さんが「ドラッグを合法化するべきだ、と過去に発言した」というような報道すれば、政治に興味ない人は「陳さんはなんて悪い奴なんだ」と思うかもしれませんが、実際の所「医薬用などの薬物、例えば医療用大麻等は合法化するべきだ」と発言していたのを切り取っているのが分かるわけであります。医療用大麻が良いか悪いかは、ここでは議論しませんが、このような手口でリコール賛成!という票を集めようとしているのが国民党なのであります。また、その背後には赤い影があるとも噂されております。なぜなら、陳柏惟さんリコールを促すこのような看板が台中市内のあちこちに建てられており、相当な資金がないとこのような看板を立てる事が出来ません。また看板の背景色は真っ赤にしてあるという部分が国民党らしいなぁと思う訳であります。つまりは、反中共的な思想を持つ台湾独立派と言われる有権者に対しても、陳柏惟さんは赤いというイメージを持たせ、少しでもリコール賛成票を得ようとしているわけであります。これなんかは、反日感情を持つ人が多いと言われる所謂外省人、特に高齢者なんかですね。これは旭日旗をイメージできるポスターですからね。補足しますと、旭日旗イコール軍国主義、侵略の象徴だというのは、あの國から台湾に入ってきたものが多いと言う事付け加えておきますし、一般的な人はあまり興味ないとか、そうだと思っていても口にしない、まったくそう思わないというように様々な考えがあるので、決して「台湾人は旭日旗に対して、マイナスイメージを持っている、とか全く問題ないと思っている」というように決めつけはしないでください。それに今回の話題とは逸れる話になりますし。

さて、最後になりますが、話を戻しますと、今や台湾に対する中共の武力的脅威は日に日に増して、民主主義国家がそれに対応して戦艦や空母を派遣するなど、台湾海峡や南シナ海、東シナ海に緊張が高まっていて、YouTubeなどではそれに関する情報が結構挙がっておりますよね。結局は武力の均衡が崩れると武力行為が行われると言われているわけですので、現在台湾に対して威嚇しつつ、台湾国内では国防能力を高める事を阻止しようとしている動きがあるという点で今回お話しさせていただきました。ちなみに中国様ですが、国内の不満がなければ、温和にただ単に台湾の国防を落とすことに全集中すればいいのですが、国内は国内で不満があるため、武力威嚇をすることで国内向けの宣伝となり、ガス抜き的な要素でやっているという見方もあるようです。

たかだか1議席のリコール選挙、とお思いでしょうが、中長期的な視点で見ると、結構恐ろしい動きがあるということがお分かりいただけたかと思いますし、日本の報道ではここまで踏み込んだ報道をしている大手メディアは無いと思っております。このブログでは基本的な方針として日本のメディアでは報道されていない台湾情報を発信していこうと思っております。

2021年10月8日 編集・翻訳(八度妖)

YouTubeでは、図も用いながら解説しております

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です