韓国メディア:tsmc南京増産は中台関係を更に緊張させる サムスンも類似の境遇に陥る可能性

韓国メディアは今日(5/6)、tsmcの南京工場増産計画が中国と台湾の緊張関係を加速させるだけでなく、業界人曰くサムスンも将来同じような境遇に陥る可能性があると報じた。

  チップ受託製造最大手tsmcが先日、28.87億米ドルの予算で南京工場の28ナノメートルの成熟した製造プロセスによる増産を目的とした拡張を決定した。しかし、中国科学技術産業アナリストの頂立剛氏は中国本土のチップ産業に大きな打撃を与えることを懸念する反対意見が公開されるに至った。韓国メディアの今日、tsmcの南京工場増産計画は、中国と台湾の緊張関係を更に加速させるだけでなく、業界人曰くサムスンも将来類似の境遇に陥る可能性もあると報じた。

《BusinessKorea》の報道によると、tsmcの投資計画は中台の間にある緊張関係を更に加速させ、中国、台湾において多くの反対のどよめきが起きており、先日は中国政府に対してtsmcは中国で28ナノメートルチップの「不当廉売」を行なう予定で、その目的は中国における競争相手を潰すもので、「中国半導体企業の構成に脅威を与える」ため、tsmc南京工場増産を阻止するよう呼びかける頂立剛氏の非難もあった。

報道では、一部の台湾の政治家もtsmcの南京増産に不満を述べ、tsmcが産業機密を中国に窃取されることを憂いており、また中国によって台湾半導体技術と人材を窃取される事を心配する人が増えてきている事に際して、台湾労働部(厚労省に相当)は先日各人材斡旋業者に対して、勤務地が中国となる欠員募集を掲載する事を禁じた、と指摘している。

報道では、米中が覇権争いを展開している中で、tsmcは積極的に米国に歩調を合わせ続けており、中国に対する制裁にも参与しているため、中国のtsmcに対する不満が出てきていると報じている。米国政府は先月、中国IC設計会社飛騰(Phytium)を制裁リストへ入れた時に、tsmcは即刻飛騰への出荷を停止しているとも指摘している。

業界ウォッチャー(恐らく韓国人)は、サムスン電子は将来類似の境遇に遭遇する可能性があり、もし米国が中国への圧力を強める事になると、サムスンへも中国企業への半導体供給を制限するよう圧力がかかるであろうと警告を鳴らしている。

現在サムスンは蘇州、西安にNAND型フラッシュメモリ工場と半導体パッケージング工場を別々に運営している。2020年、韓国のチップ輸出総額の40%を中国が占めている。

2021年5月6日 編集・翻訳(八度妖)


Web管理者感想

tsmc南京工場増産に対して、様々な意見が見られるが、中共国内において、工場増産反対の声が情報統制されずに拡散されているところを見ると、どうやら中共にとってはtsmcと中共はズブズブの関係だという証明という論調より、中国半導体企業に脅威であるという風に私は解釈いたします。また韓国国内においてもtsmcの存在は非常に脅威であることが分かる。

こんな状況なのに、日本でオールジャパンの半導体産業を目指せ!という主張をするのは、現実を見ない人間であると私は考えます。tsmcを敵視して得をするのは誰なのか、今一度考えて欲しいと思い、自由時報のニュースを和訳した次第でございます。

※今までtsmcをTSMCと表記しておりましたが、社内ではtsmcのように小文字で表記されていると聞きましたし、小文字の「t」の字の頭が少し飛びでているのが「トップ」を意味がこめられているようですので、この記事より小文字表記へと変更させていただきました。


次回スマホ買い替えの際はこの機種または後継機を購入するつもりです

TSMC最先端の技術流出は心配する必要は無し

先日、TSMCの南京工場増産についての動画を上げましたが、TSMCの技術が中国側に渡ってしまうのではないか?という声を多数いただきましたので、補足させていただきます。


今回TSMCが南京で増産するのは28ナノメートル以上の半導体であり、EUV装置は使わないとのことです。

これは、どういう事かというと最先端の半導体はEUV露光装置という最先端の技術を使って回路をシリコンウェハーに書き込むのですが、28nmはEUVではなく液浸リソグラフィという技術を使って回路を描きます。つまりは、まったく別の装置を使って回路を描くという違いがあります。

分かりやすい表現で言うと、写真でキレイで細かい表現を行なうには、コンパクトカメラでは無くて、一眼レフカメラとかかなりプロみたいなカメラを使いますよね?液浸リソグラフィがコンパクトカメラ、EUVが一眼レフとして例えてみます。

コンパクトカメラばかり使っていた人にいきなり一眼レフカメラを渡しても、ボタンがいっぱいあって機能をフルに使いこめませんよね?そしてカメラの機能を一通り理解できたとしても今度は環境に合わせてどの機能が最適なのか?ということも行わなくてはならず、それこそカメラマンの腕、つまりはノウハウというものが必要になってくるわけです。

同じように半導体においても、今回南京工場に導入されるのは先ほどの例で述べたコンパクトカメラ、つまりは液浸リソグラフィによる技術で台湾では一眼レフ、つまりはEUV露光装置なので、そもそも道具が違うので最先端技術に関する機密が漏れる心配はそもそもありません。また、南京工場や中国の別の半導体メーカーがこっそりと一眼レフを輸入してtsmcの人材を引き抜けば中国でも最先端の半導体が作れるかも?とか考えるかもしれませんが、そもそもこの一眼レフに当たるEUV露光装置はオランダのASMLという会社であり、中国への輸出を米国により制限されている訳で、中国としては一眼レフが手に入らない状態なのです。

また人に関しても、tsmcが南京に駐在させているのはコンパクトカメラのプロであり、一眼レフのプロではないという点ですね。つまり南京にいるtsmcの技術者を引き抜いたとしても、それはあくまでもコンパクトカメラでどのように表現するか?という部分の技術しか得られない訳であります。

つまり、これだけの道具の性能の差、特性の差があるわけですから、最先端技術の漏洩は必要以上に恐れる心配はないと考えられます。勿論楽観視をしてはいけませんが。

※高性能コンパクトカメラではなく、入門向けのコンパクトカメラをイメージしてください

ちなみに

「いやいや、tsmcから最先端技術に関する技術が流出または社員が悪意をもって流出させる可能性があるじゃないか」

と仰る方もいらっしゃると思いますが、私の本業は情報セキュリティであって、この辺に関してtsmcはしっかりと技術を守っている事が容易に推測できます。と言いますのも、私が勤める会社の顧客に半導体関連のメーカーがいるのですが、その会社のサーバルームで作業をしましたが、一企業のサーバルームであるにも関わらず、データセンターの入館のようなセキュリティチェックがありますし、更にはセキュリティ対策も社員はデータを盗むであろう、という性悪説を前提にシステムを設計しているので、システムの抜け穴をみつけて、そこを使わない限りは機密情報を持ち出すことは不可能に近い状態です。

業界1位でもない半導体関連のメーカーさんでさえ、これだけ厳しい管理を行なっているのでtsmcもこれ以上の対策を行なっているのは想像に難くないと思いますし、ましてや南京工場の情報管理は更に厳しいものになっていると推測できます。


つまりどういう事か?というと、半導体を作る技術者が情報漏えいの専門家である情報システム部よりも知識を持っていないと抜け穴を突破する事が出来ないという事です。また逆も同じで情報の抜け穴を知っている情報システム部の人間が、半導体製造に関する深い知識を持っていないとどの情報を盗むべきか?判断できません。かと言って、関連データをごっそりコピーなどすればシステム的なアラートが上がってしまいます。単純に考えてもデータを外に持ち出すには、少なくとも製造関係の技術者と情報システム部の人間がグルにならないと無理なわけで、且つ、システムの隙をついたやり方でないと外に持ち出すことが出来ない訳であります。流出経路をどのように塞いでいるか?など細かい事を説明するとかなり技術的でつまらない内容になるので省略させていただきますが、普通の人が思いつくようなUSBメモリ、Email、GoogleドライブやiCloudのようなオンラインストレージ、SKYPEなどのようなメッセンジャーでの転送は基本的にはデータを転送できないようになっておりますし、データ自体暗号化されております。ですが、分かりやすく言うと、紙ベースの資料は入退出時にセキュリティチェックとして行われますし、デジタルのデータに関しては、暗号化されており、且つ流出しにくいシステムを構築している訳ですし、社内規則でも罰則が設けられているだけでなく、台湾の法律として営業秘密法など産業スパイに関する法律が整備されているため、日本人が心配するほど台湾のセキュリティシステムは丈夫に出来ている訳であります。

逆に言わせていただくと、日本の情報セキュリティの方が漏洩リスクが高いのではないか?と思っております。

そういう事情もまったく知らずに「中国に行ったら情報が盗まれる」と怖がったり心配するのは、杞人憂天、杞の国に、天が崩れ落ちたらどうしようと心配して、夜も眠れず飯ものどを通らなかった人がいた状態ではないでしょうか。

勿論、中国での工場拡大なので楽観視はできないのは事実ですが、必要以上に中国を恐れるあまりに本来味方でいなければならないtsmcを敵に回してしまうようなことは絶対に避けるべきだと私は考えます。

2021年4月30日編集(八度 妖)

YouTubeでも同様の内容をしゃべっております

TSMC南京工場増産予定 中国専門家が政府に制止を呼びかける

 「護国神山(国を守る神の山)」であるTSMCは22日に開いた臨時董事長会議で、資本金28.87億ドル(約3000億円弱)の予算で、南京に28ナノメートルの成熟した製造プロセスで月産4万枚の工場を建設する事を決めた。これに対して、「中国になぜTSMCがないのか?(中國為什麼沒有台積電?)」という文章を書いた中国通信業の専門家で、ハイテク産業アナリストの項立剛氏は、以下の5点をあげ、中国政府は研究、審査、中国国産チップ製造企業を保護し「TSMCによる市場独占の防止」をするべきだと強く呼びかけた。

  項立剛氏は23日、中国メディア《新浪財經》での投稿で、「4月22日、TSMCは臨時の董事長会議を開き、28.87億米ドルの予算で南京に月産量2万枚の28ナノメートルの工場を拡大する事に批准した。この目標が達成されると、中国国内のチップ産業に大きな打撃をもたらし、中国チップ産業の発展に極めて大きな影響を与える為、我々は強く警戒しなければならない」と述べた。

  項立剛氏は更に「中央政府」は中国南京のTSMCの増産を防止するよう「制裁」するべきである5つの観点を述べた。


  1つ目は、TSMCは現在最先端チップを使って業界をコントロールしており、熟成製造プロセスのチップを不当廉売することで圧力をかける戦略を取っている。頂氏はTSMCは中国に14ナノメートルより小さい先端チップの受託製造を受けたがらず、更にはTSMCが28ナノメートルより大きな成熟した製造プロセスのチップを不当廉売しているのは、この産業において中国チップ企業を無力化し競争させない為である。ひいては長期的に中国の関連企業に圧力をかける事にもつながると述べた。

  2つ目に、「南京増産はTSMCがコストをカードとして中国チップ企業に圧力をかける事に成功するだろう」と頂氏は考えている。南京増産はTSMCが台湾での水不足と電力不足を解消することができ、更には米国の高コスト、割に合わない効率の工場でもない。そして中国チップ製造企業に圧力をかける効果があり、中国企業を競争から追い出すことができる」

  3つ目に、「TSMC南京工場の拡張は中国チップ製造企業の存続に直接衝撃を与えるであろう」と頂氏は考えている。もし28ナノメートル以上のチップ生産がTSMCに独占されたら、中国の他の企業は注文書を得る事ができず、生存の危機にも直面し、最終的に中国のチップ受託生産はTSMCの独壇場となるであろう。

  4つ目は、「TSMCの南京増産を支持する事は二兎を追う者は一兎をも得ずである」と頂氏は考えている。TSMCが中国で工場を拡大させることを支持しても、中国にとってTSMCから製造技術を得られない事に変わりはない。「このような状況が生まれると、中国がチップ製造領域において永遠に機会を失う事につながる。したがって首根っこをつかまれながら、長期的には殴られる局面になるであろう。国家戦略上、あれこれ恐れて手を出さずにいると、国家発展の大戦略の影響を及ぼすであろう」

  5つ目は、頂氏は、TSMC南京工場の増産は南京地方政府の経済的な支援にはなることは間違いないが、中国の産業に対しては大きな一撃である。「南京は地方経済の利益だけでなく、中国チップ産業の発展を重く見るべきだ。TSMCの増産に対して、南京地方政府は批准を許してはならず、土地、供電、給水などの優遇もやめるべきである」と述べた。



  頂氏は最後に「TSMCは中国の政策、資源、水力、電力、低コストの人材を利用して、比較て遅れたチップの大量生産を行ない、不当廉売により中国の新興チップ製造企業を潰すだろう。このような状況は決して引き起こしてはならない。私は政府関連部門にTSMCについての研究、審査、中国チップ製造企業の保護、TSMCの市場独占の防止を強く呼びかける」と述べた。

  文章は台湾最大の電子掲示板PTTに貼られ、台湾ネット民に「あんたのところの庭に工場建てたら(先端)技術を提供しなければならない?何言ってんだこいつ」、「中国が中国にあるTSMCに制裁?頭がおかしくなったのか?それとも(中国内を)分裂させたいのか?」、「早く制裁してよ、MediaTekやUMCもついでに制裁してね」と皮肉たっぷりの言われようだった。

多くのネット民からも「TSMCの技術は盗めないよ」、「直接技術を盗もうなんてクソだね」、「技術を得る、って〇〇(汚い言葉)だね。早く制裁しろよ」、「4点目 技術を盗むって、やっぱり中国」というキーワードが続出した。

2021年4月25日 編集・翻訳(八度妖)

TSMCへ900億円プレゼント?は「嘘」

まず一言

「900億円をプレゼント」は嘘です。

うっかり間違えたのか、わざと900億円プレゼントと言ったのかは不明ですが、実際にはそんなことはありません。

まず、どこからこんな情報が出て来たか?というと、私の知る限り、深田萌絵さんだと思いますし、他にはいないと思います。(もしいたら、教えてください)


連続して深田萌絵さんのツイートを引用して申し訳ないですが、これはほんの一部の発言です。他にもあったのですが、あまりにも量が多かったため省略いたしました。


ではなぜ、この情報が嘘だというか?というと、経産省の公式Webサイトを見れば分かるとおり、補正予算900億円は「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」という枠組みで編成されており、その詳細を見ると、助成金として1件につき上限250億円となっているからです。

先端半導体製造技術の開発(助成)

提案1件当たりの助成費は、原則として250億円以下とする。

ソース
https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200415001/20200415001-1.pdf

しかもこの助成金は、折半であるため、実際の投資額の半分になるわけなのですが、Bloombergの予想では茨城県つくばに作られるTSMCの工場への投資は200億円と推測されており、つまりはこの数字すべてが助成金の対象になるのであったとしても100億円が助成金となるのであります。

ただ、100億円も巨額だと言えるので、この使い道が正しいかどうかを見極める必要があるのですが、才女の深田萌絵さんが凡ミスをするわけがありません。何か理由があって上限250億円の予算を「900億円プレゼント」と嘘までついて発言したか、裏を考える必要があると思います。それはどうしてもTSMCを日本に誘致したくない理由があるんだと思います。嘘までついて、愛国精神あふれる日本人を騙しているわけでありますから。その理由についてはまた改めて考察したいと思います。

ちなみにこの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」ですが、元々1000億円以上あった予算に追加として900億円の予算が組まれたのであり、先月、予算の使い道の第一弾が決まりました。

東京エレクトロン社、キヤノン社、SCREEN社(及びその関連会社)に決まったというニュースがありました。つまりは、この予算すべてがTSMCまたは外資に使われることではないということがお分かりいただけたでしょうか。

能天気に海外からのビジネスの話に乗るのはいけませんが、かと言って疑い過ぎて、本来味方かもしれない相手までも「不要だ!」という可能性があることにも目を向けるべきだと私は考えます。なお、TSMCが中共とズブズブの関係かどうかは確証は持てませんが、可能性は低いと私は考えます。

最近TwitterやYouTubeなどの言論を見ると、TSMCが危ないから日本誘致はヤメロ、という声が大きくなっているように感じます。理想論としては私もJapan as Number one というように日本企業最強という状態がくればいいと思いますが、今まで日本政府が半導体業界をないがしろにしてきたツケをすぐに回復できるのであれば、誘致は不要なのかもしれませんが、何周も周回遅れになっている状態なのですから、野球の助っ人外国人選手のようにTSMCを誘致するのはありだと私は考えます。なぜなら、例えが古いかもしれませんが、ランディー・バース選手一人で阪神を日本一に導いたのではなく、掛布・岡田選手や他の選手もいたから日本一になれたのであり、半導体業界も同じようにTSMCだけでシェア世界一になったのではなく、信越化学やSCREENなど数多くの企業がいるから世界一になることができているのであります。

しかし半導体業界は非常に複雑なので、深田萌絵さんのように単純化して分かりやすく説明する事も大切ですが、主義主張が入っているような場合は気を付けるべきだと私は考えます。

最後に、日本の国益になることを考えるにあたり、日本の安全保障が関わって来ると思います。台湾を中共にとられてしまったら、日本の安全がどれだけ脅かされるかお判りでしょうか?そうならないためにも、TSMCが中共とズブズブだという主張を一歩下がって、冷静に情報を分析する事が必要だと思います。

2021年4月19日 編集(八度妖)


2021年4月30日追記

色々と情報を調べていたら、TSMC社が2月9日に

すべて自身で完全子会社を設立する事を決定した

という公式リリースを出していました。また工場ではなく「研究開発拠点」ということですので、日本の半導体製造メーカーの脅威になるようなことは少なそうですね。

https://pr.tsmc.com/japanese/news/2786

「中国製造2025」は無理でしょ!

  さて、今日は台湾メディアが日本の技術力の高さを例に出しながら中共が一生懸命半導体産業を自国で賄おうとしているけど、うまくいかないよ、という例を出しておりましたので、それをご紹介いたします。

  ニュースなどでは、中国が国家プロジェクトとして例えば中国エリート大学清華大学が経営する紫光集団が10年間で13兆円にも上る大金を半導体メモリ分野に投入して、2022年には重慶の新工場で量産に入る予定だと言われております。また昨年2019年からは元エルピーダメモリ社長だった坂本幸雄(さかもとゆきお)氏を最高副総裁として迎い入れて積極的にこの計画を官民一体となって推進しようとしております。

  他にもSMICやHSMCと言った企業も自前の半導体を製造しようと、世界トップの半導体ファウンドリーの台湾の会社TSMCから人材を引き抜く等、積極的に計画を進めておりましたが、HSMCの方は倒産の危機がささやかれる程アメリカの経済制裁が効いているようです。

  いずれにしても、メディアや親中的な人の発言を見ると、中国はこれから自前でやっていくぞ、つまりは「中国製造2025」という奴ですね。この目標達成のために官民一体となって取り組むので数年後には日本の脅威となるだろうという論調を目にしますが、半導体製造と言うのは、優秀な人材を確保し、製造機械を用意し、材料等を調達したとしても、高品質な製品がポンと出来上がるわけではないようです。

  その例として台湾メディアが「ハードロック工業」という日本の会社を紹介しておりました。ご存じの方も多いと思いますが、この会社は絶対に緩まないナットを販売しており、高速鉄道やロケットなどの振動が多い乗り物や機械で使われており、その高い品質からナットのゆるみを確認するメンテナンスが不要だと言われております。そんな高品質なナットですが、公式Webサイトにはその仕組みが紹介されておりますし、特許資料にも記載されているので、当然それを真似する会社が出てくると思うのですが、それらしい製品はできるものの、品質があまり良くないと言われております。つまりどういうことかというと、ナットのような一見単純そうな製品であったとしても、高い品質を提供するには、それなりの熟練のノウハウが必要だという事であり、設計図だけでは作れない企業秘密というものが存在しているということですね。

ハードロック工業様の「HLN ハードロックナット」。絶対に緩まないナットとして世界の安全を支えている

  現在、インテルも、サムソンも諦めていると言われている3ナノメートルの半導体製造はTSMCしかできないと言われております。つまりは多くの大企業が莫大な研究開発費用を投じてもなかなか達成できない高度な技術を必要とする製造プロセスを、人や設備や材料をかき集めただけでは達成する事が難しいという事が先ほどのハードロック工業さんの例を見ても分かると思います。

  日本人であれば、こういう職人の技というか、熟練の技と言うか、そういうものがなければ、高性能で高品質な製品を製造する事が難しいということがお分かりかと思いますが、それに必要なのは人材という財産が会社にしっかりと根付いているという前提条件だと思います。日本では、昨今終身雇用が崩壊し、競争社会になったと言われるものの、社員が会社を辞めていく離職率は中国と比べると圧倒的に低いものであります。逆を言うと、中国では自身の収入アップのために、2~3年おきくらいに転職していく人が多い傾向があります。例えば、今の会社の年収が100万円だとしたら、次に転職する会社には、前職のキャリアがあるので110万で円で問題ないだろう、的な感覚で転職しております。中国とビジネスをした人ならお判りでしょうが、取引先の担当者が変わることってしょっちゅうありませんか?もちろん同じ会社で長く務めるような人もいますし、業種によっては、転職してもサービス提供に影響が無い若しくは良くなる、ということはありますが、製造業においては、そんな短期間でコロコロ仕事を変わるようでは良い製品は作れないと私は考えております。

  なお、TSMCですが、4.9%と低い離職率を誇っております。これが低いか高いかを判断する材料として同じ半導体製造企業である先ほど紹介した中共のSMIC社は同じ年の離職率は17.5%でした。

2020年10月5日 編集(八度 妖)

YouTubeでも配信しております