台湾、福島等の5県産食品の輸入を解禁へ

朗報ですね。日本語でもニュースになっておりましたが、2011年から続けられていた福島県など5県産の食品に対する輸入禁止措置が解除されることになりました。まずは台湾国営通信社 中央社の日本語版フォーカス台湾の記事を抜粋しました。

(台北中央社)行政院(内閣)の羅秉成(らへいせい)は7日夜、政府は2011年から続けてきた福島など5県産食品に対する輸入禁止措置を改める方針を示した。各省庁の具体的な施策など詳細は8日に開かれる記者会見で発表する予定。

フォーカス台湾 2022年2月7日
https://japan.focustaiwan.tw/politics/202202070009

詳しくは上のリンクをクリックしてください


フォーカス台湾は国営通信社であるため、過激なタイトルをつけてレビュー数を増やそうとすることはせず、結構手堅い記事を選んで日本語に翻訳している為、順調に解禁されると思います。

では、今回の政策変更について、中国語版では詳しく書かれていたのでもう少し踏み込んだ部分をご紹介いたします。

大きく3つの変更があるのですが、まず、現在、福島、群馬、栃木、茨城、千葉県産の食品が「特定地区からの輸入禁止」と定められているのですが、これを今回「特定製品の輸入禁止」へと改められます。そして、放射性物質検査証明書と産地証明の添付を求める事、そして最後に、5県産の食品については食品到着後にロットごとの検査を行う、ということとなります。

こう見るとかなり厳しい検査体制が敷かれるようですね。ただ、こうでもしないと、輸入解禁に反対してきた中国国民党やその支持者からは重箱の隅をつついたような本当にどうでもいいことを取り上げて政権批判したりしますし、場合によっては、中天新聞や中国時報などの中共傀儡メディアは、捏造に近いような報道をしますからね。

ちなみに、2018年に「福島県産など5県の食品輸入解禁をするべきか否か?」という国民投票が行われ、結局禁輸継続が決まったのですが、これにはからくりがあること、再度お伝えいたします。


まず、1つ目としては、先ほど述べた日台分断工作を行なおうとしている中共傀儡メディアが福島県産の食品は核汚染している、日本人すら食べないものをなぜ台湾へ輸入するんだ!みたいな、デマを国民投票前に流していた、という点が挙げられます。現在では、中共傀儡メディアには気をつけろ!という警戒感を台湾人は持っていますが、この頃はもうちょっとぬるま湯だった感があり、また「食べ物と健康」という身近な関心が高い話題であったため、このようなデマすら信じてしまったという状況がありました。

次に2つ目として、国民投票についてもトリックというか、色々と問題がありまして、まずは国民投票の投票項目を見てみましょう。

こんなに長い長文を読まなくてはならないのですが、すべての有権者がこれをしっかりと読むわけではありません。ほとんどの人が、メディアや周りの人から情報を仕入れて判断するのですが、そういう場合は殆どが簡略化された情報となります。中共傀儡メディアや国民党寄りのメディア、SNSなどでは、「核汚染食品の輸入再開に賛成か反対か?」というような形になっていたため、そうすると核汚染食品は誰だって輸入なんてしてほしくないと思う訳ではないですか。しかし実際には、投票項目を見ると福島など5県の地域からの食品輸入再開に賛成か否か?」と書かれている訳なので、国民党や中共傀儡メディアは福島の食品すべてが核汚染されている食品だ、みたいな主張を大々的に展開していた訳です。

幸いにも2021年年末に米国産豚肉の輸入禁止を問う国民投票が行われましたが、禁止は否決され、外国からの食品輸入に一定の理解が得られたということと、何といってもCPTPP加入という大きな目標があるので、11年越しにやっと輸入再開することができるようになったわけです。

これだけ言うと民進党が真っ白、国民党と中共が真っ黒という感じになるわけですが、民進党も2016年に総統選及び国会議員選挙があった際に、輸入解禁を公約に掲げなかったという部分があったという落ち度というか、説明不足があった、という点は付け加えさせていただきます。

ただ、昨年のパイナップルが中国に禁輸措置を取られて、日本に買ってほしいと、いう動きになった時に「福島の輸入を禁止しておきながらパイナップルを買ってくれとは都合が良すぎる」というような批判が出ていたことがなんだかやるせない思いでした。国民党や中国共産党が如何に妨害をしていたか、日台分断を常日頃から狙っているということを知っていれば、このような批判は出ないと思うはずです。しかも悲しい事に、「台湾は都合が良すぎる」という人は自称「愛国」、自称「保守」と言われる人に多かったのがなんというか皮肉な結果かなぁと思います。

いずれにしても結果オーライ。台湾でも一刻でも早く福島や近隣県の食品を食べたいと望む台湾人が多いようで、SNSでは喜びの声が多く見られました。早ければ今月末には店頭に並ぶとの事なので、月末頃にまた明るいニュースが流れそうですね。
ちなみに、私の経験の範囲で語ると、福島の食品と言って台湾人がすぐ頭に浮かぶものとしては「桃」などの果物が多いですね。

2022年2月8日 編集・翻訳(八度妖)

12月実施の台湾国民投票を解説

  今日は12月18日に行われる台湾の国民投票について簡単に説明いたします。日本には自治体レベルの住民投票なるものは行われたことがありますが、全国民を対象とした国民投票というものが行なわれたことはありませんよね。
台湾では2004年から行われており、今回12月の投票が4回目になります。
正式名称は「中華民國全國性公民投票」、略して「公投」と言われており、この投票で可決された事案については2年間動かしてはならないという縛りが生まれてきます。但し法的拘束力はありません。


  我々日本人にも関係した台湾国民投票と言えば、福島県を含む5県からの食品輸入禁止を維持するかどうかというものかと思います。2018年ではこの投票案が賛成77.74%という高い比率で可決され、禁輸措置が継続する形となり、輸入再開を狙っていた蔡英文政権に打撃を与えた形となりました。この声は国民党を中心として主張されたものですが、その背後には中国共産党など、打倒民進党を掲げる勢力も加担していたことは、その後明らかになっております。
話は逸れてしまいましたが、では、今年の国民投票の投票項目は何か?というと4つあります。さっそくどのような内容なのか、解説して参ります。

1. 台湾第四原子力発電所での商業発電開始に賛成か反対か

2. 政府が成長ホルモン入りの米国産豚肉、内蔵や関連製品の輸入を全面禁止するべきであることに賛成か反対か


3. 国民投票実施の決定後、半年以内に全国的な選挙がある場合、国民投票の法規に合致していれば、その選挙日と一緒に実施するべきであることに賛成か反対か


4. 中油会社の第三天然ガス基地を桃園大潭藻礁(とうえんだいたんもしょう)海岸と海域から移転することに賛成か反対か?(これは北は観音渓から南は新屋渓までの海岸及びその海岸の低潮線から並行して5キロの海域を指す)

という形になります。これだけを聞くと、ん?賛成したっていいじゃないか、と思う項目もあるかもしれませんが、質問の文言が、発起人である国民党によって書かれたものなので、なるべく賛成票に誘導できるような形で表現されていること付け加えておきます。

まずは民進党の姿勢を見てみましょう。
蔡英文総統のFacebookやLINEなどSNSでは、4つに反対しましょう!反対しなければ、台湾は良くならない、反対しなければ台湾は混乱をきたしてしまう、というように呼び掛けております。

元々は国民投票とは、国民の声を反映させる制度なのですが、台湾最大野党の国民党はこの仕組みを悪用して、民進党を叩くための政治的なツールとしているのが明白な今回の国民投票であるため、民進党は支持者に反対票を入れるよう呼びかけております。もちろん、民進党が清廉潔白な政党であるとは言えないので、特に電力関係においては利害関係者がいる、国民党側にはそこに割り込めなかった、とか別の利権をねじ込ませたいという思惑がある、などお金や権利が絡んでいる部分もあると思います。

しかしながら、国民党が国民投票を政治利用しているのでそれに対抗すべく民進党も等を挙げて反対票をいれるよう呼びかけをおこなっているのが現状です。


さて、やっと本題に入りますが、投票案に対する賛成側の意見と反対側の意見を交えながら、一つずつ簡単に説明いたします。

1つ目の第四原発ですが、これは戒厳令が敷かれていた1980年代に台北市北東にある新北市貢寮区(こうりょうく)に建設計画が立てられ、土地も強制収用され住民が強制立ち退きされた事実があり、その後も建設反対の声が挙がる中、推進側が独断で計画を進めたりと、まだ商業発電に至っていないいわく付きの原子力発電所なのであります。また、多くの台湾人が関心を寄せた東日本大震災の福島原発の事故も相まって、国民の原発に対する不安感は非常に強いという空気もあり、民進党は脱原発を目指しております。しかし、国民党は電力の安定供給とクリーンエネルギーを実現させるために、第四原発の商業発電開始を推進しております。

ちなみに2018年の国民投票で、60%の国民が「原子力発電はクリーンな発電である為、2025年までに全廃はするべきではない」と考えているという結果を受けての今回の商業発電開始をさせようと国民投票議題になったという訳であるとともに、民進党は台湾での原発すべてを廃止することを目標としているため、それに対抗するため、国民党は、今年台湾では何度か停電が起きたので、その不便さを取り上げて民進党政権が脱原発を進めているから停電が起きるんだ、みたいな主張をしております。つまりは国民党の政治的手段として使われているという側面ですね。民進党叩きの道具として原発というテーマが利用されたという感じですね。ちなみに民進党は、台湾は地震国家で大きなリスクがある事と、使用済み核燃料をどうするか?という問題が解決されていないため、全廃にするべきだということを主張しております。ただ、台湾も日本と同じ工業でなりたっている国であるため、安定して且つ安価に電力供給するという面において、色々と懸念点もあるのも事実です。そのため、「急激な脱原発をするよりもまずは安価な電力供給もできる原発を併用する」という意見も民進党支持者内にもあります。
脱原発、クリーンエネルギーについては、日本でも色々と意見が分かれる所ですので、民進党と国民党というステレオタイプで判断するべき項目ではないと思っておりますが、国民党、特に馬英九政権時には第四原発稼働に反対しており、ダブルスタンダードなのはお約束です。


2つ目、ラクトパミンという成長ホルモン入りのアメリカ産豚肉と関連製品の輸入を全面禁止するかどうか、ですが、これは2018年に福島県を含む5県の食品の輸入禁止継続が決まったように食の安全につながる議題でもあり、先日CPTPPに加入申請をした台湾ですが、この国民投票の結果は日本の5県産の食品輸入再開へ大きな影響を与えるのではないか?と考えられます。今回の投票はあくまでもアメリカ産豚肉に対する可否が問われている訳ですが、大きくくくると「食の安全」につながるわけで、仮にここで全面禁止に賛成する声が大きいと、福島を含む5県の食品輸入再開が遠のいてしまうのではないか?そしてそうなることで、CPTPP加入も遠のいてしまうのではないか?という懸念があるわけでございます。我々日本人からしたら5県の食品輸入再開はぜひとも行なってほしいわけでありますが、食の安全には非常にシビアであるという台湾人の国民性もあるので、この案が賛成過半数になってしまうのではないか?と心配している訳であります。
ちなみに民進党はアメリカ産豚肉輸入を解禁した政党ですので、アメリカとの貿易上の問題、CPTPP加入の条件としての国際貿易の重要性を打ち出して、反対するよう呼びかけとります。また、輸入が解禁されてもうすぐ1年になろうとしますが、政府は一環として国民に米国産豚肉の購入を強制させることはなく、心配なら買わなくても良い、という選択肢を残していることを強調しておりますし、国際基準の安全性を保証しております。これに関しては日本人としては、否決してほしい項目かと思います。


3つ目、国民投票と全国規模の選挙投票日が近い場合は、同日に行うか否か?という点ですが、これに関しては、何も背景がないと、「投票する手間が減るからいいんじゃないの?」と思うかもしれません。でもなぜ、国民党がこれを推進し、民進党が反対するのかを説明する必要があります。
国民党の言い分としては、全国規模の選挙、つまりは国会議員や総統を決める選挙や地方自治体の首長を決める地方統一選挙などと一緒に実施すれば、単独で国民投票をするよりも投票率が上がり、国民の意見が反映されやすくなる、という点が挙げられます。
一方民進党は、2018年が地方統一選挙と一緒に行われた国民投票ですが、開票作業が行われながら、投票も行われたというように現場での混乱が起きたという事例から、もしこの案が賛成多数となると、また選挙に混乱を招く可能性があるという点を強調しております。投開票が同時に行われるというのは言語道断の事ですが、それを防止する対策をすれば民進党の主張は弱くなってしまうなぁ、と考えてしまいます。


4つ目、中油会社の第三天然ガス基地建設に関して、場所は桃園空港から程近い、大潭藻礁と言われるサンゴの死骸から形成された自然の美しい場所、こんな感じの場所ですね、そんな場所であるので、そこが潰されると海の生態環境に大きな影響を与えるため、基地を建設予定地から遠ざけるべきか否かを問われています。これは「電力供給とクリーンエネルギー」という点において1つ目の原発問題とも絡む問題であり、環境破壊をしてまで脱原発をするべきなのか?環境保護をしなくてはならないから、第四原発を稼働させるべきだ、という主張とも結びつくわけであります。
民進党としては、すでに大幅な開発縮小をしており、今年はまた別の環境に配慮したプランを打ち出すなど、対策をしながら脱原発を推進する方面で反対票を促しております。
これに関してはなかなか難しい判断ですが、国民党は曾て環境保護なんて主張した事もないのに、民進党を倒す為なら、なんでも取り入れるという部分が気に食わないところですね。それはまるで石炭火力発電所の停止で電力不足になったけど、環境に配慮した為と言い訳をするどこかの国みたいな発言のようです。まぁ、しょせんは中国国民党も中国共産党も双子の兄弟であり、けんか別れして一方は中国大陸に、一方は台湾に逃れて不当に台湾を統治していた政党であること補足させていただきます。

観音渓から新屋渓までの海岸線と海域が対象

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はい、以上が簡単に国民投票の議題を説明してみました。これら議題で特にラクトパミン入りの豚肉輸入に関する事項、エネルギー政策に関する第四原発稼働と第三天然ガス基地建設に関しては、相手国の都合や世界情勢の流れも含まれる非常に複雑な事柄であります。これを果たして全国民が内容を理解して票を入れる事ができるのか?という懸念が挙げられます。そして議題の内容を理解したとしても、投票の質問の仕方によっては反対票が賛成票に含まれる、賛成票が反対票に含まれる、というような形になってしまうので、政治利用されやすいという側面があります。ですので、日本も今後国民投票が行われる際には、台湾の事情からも学べるべきことがあるのではないかと思っている訳です。

例えば、設問に

女性が天皇になることに賛成か反対か?

という設問があった場合、女性天皇は良いけど、女系はダメだという考えの人は、果たしてどちらに入れたらよいのか?と悩むはずです。こういうグレーな部分の層を如何に多く取り込むかが、設問の仕方でもあり、投票日前までの情報戦が鍵を握るわけであります。実際に日本人に大きく関係する福島を含む5県の食品輸入禁止継続は、メディアでのデマまがいのフェイクニュースを信じた台湾国民が多く、禁輸継続が決まってしまったわけであります。
いずれにしても日本人が体験した事のない「国民投票」。台湾だけでなく、色々な国の国民投票の良し悪しを学んで、取り入れて欲しいと思う訳であります。

ちなみにこの国民投票において、可決、否決されたことに関して、法的拘束力がないため、悪意ある政治家が権力を握っていると、国民の意志が反映されない可能性があるわけですし、不履行でも罰則があるわけではありません。

2021年11月1日 編集(八度妖)