台湾は本当に尖閣諸島の領有権を主張しているのか?

前回は「日本食品輸入禁止」について解説いたしましたが、今回は尖閣諸島の領有権主張に解説したいと思います。ただ、その前提条件として台湾の戦後の流れを把握することが必要なのですが、まず結論としては、領有権を主張しているのが中華民国であり、台湾自体は領有権を主張しておらず、李登輝元総統のように領有権は日本にあり、漁業権だけ共有したいという立場であるという事です。

言いたいこととしては、台湾と中華民国は違うものだという事であり、まずはこの違いを簡単に述べたいと思います。

大東亜戦争終結後、日本は台湾を手放す形となり、多くの日本人が台湾を中国へ返還したと勘違いしておりますが、そもそも、これが間違え。日本は返還したのではなく、一切の権利を放棄しただけであります。日本はあくまでも連合国軍の一員であった中華民国、当時はまだ南京に首都がある中華民国ですね。その中華民国に台湾での管轄権を渡したわけであります。その後1949年の国共内戦に敗れた中華民国が台湾に亡命して、これが今に至るまで続いています。

  分かりやすく言うと南樺太や千島列島のような、本来ならば地図でいう白い地域、つまりは帰属未確定地域になるわけですが、その辺の事情が分からない人からすると、台湾は中国の一部だという人もいれば、台湾は中華民国という国だという人も出てくるわけです。今でこそ蔡英文総統率いる民進党が国を運営していますが、20数年前までは、自由選挙も無い中国国民党が勝手に台湾人を支配する国、中華民国は台湾にいる亡命政府なのであります。

  では、今度はネイティブ台湾人の視点から見てみましょう。多くの人が生まれた時から大日本帝国の臣民として育ってきたのですが、1945年にいきなり戦勝国の中華民国が台湾人の意志も聞かずに支配し始めたわけであります。ネイティブ台湾人の立場からしたら、日本の終戦によって、一部は中華民国に属する事を歓迎した訳ですが、一部は台湾国建国をめざしていました。日本が戦争に負けて、台湾をどうするかを決める際に、連合軍が中華民国に管轄権を委ねました。しかし、その管轄権行使は常識では考えられないような越権行為が行われ、実質台湾を不法に統治している形となり、台湾人の不満が高まり228事件が起き、そして徹底的な言論弾圧と情報統制によって「台湾は中華民国の一部である」と台湾国民を洗脳していったわけであります。つまりは台湾人の考え方を中国人に変えていったわけであります。その影響で台湾人の中でも「台湾イコール中華民国」と言う人もいますが、今、台湾人が「台湾は台湾だ」と言えるようになったのはほんの20数年前からであることを踏まえなければなりません。そして洗脳されなかった、もしくは洗脳から解放されたネイティブ台湾人にとっては、多くの日本人が台湾の国旗と思いこんでいる青天白日満地紅の旗は勿論、「中華民国」という国号すら嫌悪感を抱いており、そんな彼らが最終的に望むことは「台湾国」の樹立であること覚えていてください。

一旦まとめますと、

中華民国=中国から来た亡命政府とその亡命政府を支持する国民党党員と支持者

台湾=中国とは関係のない実質国家として成り立っている地域とそこに住む中国人ではない人々

となります。


さて、突然ですが質問です。中華民国は元々どこにあったでしょうか?
答えは今の中国ですね。現在確かに中華民国は尖閣諸島の領有権を主張していますが、先ほど述べた中華民国=台湾ではないということが理解できれば、台湾が尖閣の領有権を主張している訳ではなく、中華民国、中国が領有権を主張しているということが分かると思います。
そうすると、あれ?蔡英文総統も公の場で領有権を主張していたような気がする、という人がいると思います。

2020年6月の発言です。台湾の領土とは言っていません。あくまでも中華民国が領有権を主張しているんですよ、私は中華民国の総統ですから、立場上、領有権が中華民国にあると言うしかないんですよ、という意味にも捉えることができます。
特に蔡英文総統は、2016年に総統に就任してから国民に何かを伝える時には「中華民国」を極力使わないようにしております。

  次に、総統選のディベートでもライバルの国民党の候補が「蔡英文総統は就任以来「中華民国」と言わず、「この国家」とばかり言っている」と主張するくらい「中華民国」という呼び方に注意を払っています。

  また、どうしても使わなければならないときは「中華民国 台湾」と言うようにしています。つまりは、中華民国と台湾を区別していこうという主張が読み取れるわけで、もし蔡総統が「領有権は中華民国台湾にある」と発言したのであれば、虎視眈々と尖閣諸島を狙っていると読み取ることができ注意が必要になります。

ただ、2016年総統に就任する前には「民進党の立場としては、釣魚島は台湾に属する」と発言しておりますし、2009年、民進党の主席の時に日本へやってきてインタビューを受けた際に「法律的見解に基づき、政治的主張をするのであれば、私は台湾のものだと考えます」と答えておりますが、あくまでも一個人の考えで、総統に就任してからは、特に2期目に関しては尖閣諸島は中華民国の領土だとは言ったものの、台湾の領土だと言っていないと記憶しております。つまりは、中華民国イコール中国や中国国民党が尖閣諸島の領有権を主張しているのであって、蔡英文政権は特段能動的に主張している訳ではないということであります。10月10日の国慶節の演説は、中華民国総統にとって所信表明演説とも言えるくらい重みのある演説なのですが、馬英九前総統は事あるごとに尖閣諸島は中華民国のものだ!という主張を演説の中に盛り込んでおりましたが、蔡総統は私の記憶の限りでは尖閣の「せ」、釣魚島の「ち」の字も触れていなかったと記憶しております。

  もちろん日本側も常に主張していく必要があると思いますが、わざわざ粗探しのように「過去に台湾の領土だと言った」と引き出すのではなく、昔から蔡総統は「平和的解決をしていくべきだ」と主張しているので、それに合わせて日本は日本なりの主張をしつづけ、話し合いをすれば、どこかのゴロツキ国家とは違うのだから、円満に解決できると私は考えております。

  究極的な解決方法としては、李登輝元総統の考えを汲む組織主導による台湾国の建国を日本が支持する事だと思います。ただ、実際に今の状態から台湾国を建国する事は難しいですから、現実味があるものとしては、日本と中華民国が国交を結ぶか、中華民国の国号を台湾国と変更して国交を結ぶことになるかと思いますが、その際に条約に盛り込むという方向で外交的交渉が行われると思いますが、双方恐らくなかなか譲れない厳しい交渉になると思います。
ただ、いずれにしても私は日本と台湾は家族のような切っても切れない関係だと思っております。どんなに仲が良くても喧嘩はするはずですし、意見が違ってくることだってあります。視聴者の皆様も兄弟げんか、親子喧嘩をしたことがあるはずです。しかし日本と台湾は家族なのですから、逆に尖閣諸島の問題を通して、「雨降って地固まる」ではないですが、日台の絆が深くなる可能性もあると私は信じていますので、中共という巨大な敵を目の前にしている間は、わざわざ日台の対立をあおるような発言は慎んでほしいですね。

文章内の蔡英文総統の発言がこの動画内に収録されております。

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浙江江蘇閥って何?そんなの聞いたことが無い

注意:ここ数日でこのページへのアクセスが急増しておりますが、浙江江蘇閥、浙江財閥、台湾浙江財閥、青幇(チンパン)がDeep State若しくは中華Deep Stateだという主張があり、検索してここに辿り着かれた方も多いと思います。しかしながら、ここでは浙江なんちゃらや青幫がDeep Stateであることには言及しておりませんが、台湾や台湾闇社会が世界を牛耳っているというような主張は信憑性が低いと私は考えております。なぜなら某女史は「中国国民党」のことを「台湾国民党」と表記するなど初歩的なミスをしており、とても台湾情勢に熟知しているとは思えないからです。

  「中国国民党」のことを「台湾国民党」と表記する事は「自由民主党」を「自由な民主党」、「中央大学」を「中央学院大学」、「フェラーリ・テスタロッサ」を「フュラーリ・テスタオッサンドナイシテマンネン」と間違えるくらい似たような名前だけど、全く異なるものであるということです。常識のある台湾人であれば、中国国民党のことを絶対に「台湾国民党」とは言いません。

  ちなみに「台湾国民党」は2007年~2020年まで存在した非常に小さな政治団体です。

  青幫(チンパン)については 以下記事名をクリックすると私の考察がご覧いただけます。

https://asia-news.tokyo/12-15-1459/

  どこかのITビジネスアナリストF女史がよく「青幇(チンパン)」という言葉を使って、台湾IT業界も中国と同じように赤く染まっていたり、裏で糸を引いていると本を出版したり、SNSで情報を拡散しておりますが、最近になって、台湾を愛する人たちによって、「青幇(チンパン)」は既に影響力がなくなり、風前の灯火だという事実が知れ渡ってきた影響なのか、F女史の発言から「青幇(チンパン)」という言葉が少なくなってきました。その替わりに「浙江江蘇閥」という言葉を使い始めたことに気づきました。浙江江蘇閥についての知識はそれほどないのですが、さらっと調べてみた限り、浙江省や江蘇省出身の財界人が集まった浙江閥(浙江財閥)が存在したのは確かであり、中国がまだ蒋介石率いる中華民国だった頃に蒋介石は浙江閥(浙江財閥)に苦しめられていたのは歴史にも残っております。

神戸又新日報 1930.5.2 (昭和5)

習近平氏は2002年に浙江省の党委書記に就任していたため、浙江省の党幹部とのつながりが強いと言われています。

  一方江蘇閥とは何か?というと調べた限り、明確な定義が無いようです。江蘇省は上海の北部に位置する省であり、恐らく上海幇(シャンハイバン)と同じであると推測されます。そして江蘇閥(上海幇)の実力者と言えば、江沢民氏、曽慶紅氏などが挙げられます。
  現在中共の最高指導者と言えば習近平氏。つまりは浙江閥も習氏寄りのグループであると考えられますが、一方江蘇閥(上海幇)は権力闘争の相手であります。つまり「浙江江蘇閥」という言葉は水と油が一緒になったような言葉であるという事がお分かりいただけたでしょうか。
  ちなみに中国語の情報も調べたのですが、浙江閥と江蘇閥が仲良く組んでいるというような資料を未だに見つけられないでいるのは、私の探し方がおかしいからなのかもしれません。

結論

  F女史は以前は青幇を使って根拠もなく台湾や台湾人を批判していたのですがが、冒頭にも述べたように青幇が何ら影響を持たない組織であることがバレ始めたので、新たに「浙江江蘇閥」という言葉を作り上げたものと考えます。冒頭にもあるように「浙江財閥」という」単語は存在しておりますが、それは中華民国政府が大陸を統治していた頃の話。現在は既に国民政府の敵対勢力である中国共産党体制が敷かれている大陸においての浙江・江蘇というと

浙江=習近平派、江蘇=江沢民派

となるため、この二つの派閥が仲良くくっついて、更には台湾ともくっついて世の中を回していると思いますか?私はそんなことはないと考えています。

また仮にF女史の言う浙江江蘇閥が国共内戦で敗れて、国民政府軍と一緒に台湾へ亡命してきた外省人が織りなす組織であったとしても、(蒋介石時代の)中華民国の浙江財閥の影響力が大きかった頃から、既に時間も時局も大きく変化しており、また一番の後ろ盾であった蒋介石が亡くなって影響力を失っているため、台湾メディアでは浙江江蘇閥(または浙江閥)の話を取り上げることはない。そして何よりもF女史が言うTSMC(台湾積体電路製造)が浙江江蘇閥であるというのは大きな間違えである。なぜなら、反共産主義であり、台湾を民主化に導いた李登輝元総統の言葉に

TSMCは、私が総統在任中、政府がバックアップをしてできた会社

とあるように、決して中共と一緒になるために設立された会社ではないという事です。いずれにしても

「浙江江蘇閥」という言葉に要注意!!

が必要である。


ちなみに「幇」という漢字にGANGSTAR(ギャングや闇組織)というイメージを持っている人も多いかもしれませんがが、そういう意味は無く「幇助」という意味から「お互いに助け合うグループ」という意味となっております。日本語で分かりやすく例えると「組」が付く組織で真っ先に思いつくのは何でしょうか?私は「山〇組」なんですが、如何でしょうか?しかし闇組織の組以外にも、大手ゼネコン会社にも「組」が付く会社がありますよね?つまり「〇〇幇」というのは「組」のようなもので、闇組織だった「幇」もありますが、そうでない「幇」も存在するのです。例えば「台南幇」が挙げられますが、こちらはセブンイレブン、スタバ、ヤマト運輸など手広く事業を展開する台湾の優良企業「統一企業」を中心として会社の集まりであります。
「台南幇」についてはまた次回ご説明したいと思います。

https://twitter.com/Fukadamoe/status/1208579996500938753
このように「幇」をGANGSTAR(闇組織)と説明している著名人もいる。「組」は闇組織という意味であると言っているのと同様である