中国が世界の鉱山を奪い 工業界を牛耳ろうとしている件

  今日は、中共が現在鉱物資源を奪い取って世界の工業界を操ろうと企んでいるというニュースがありましたので、7月6日の台湾最大手の新聞社 自由時報の経済版のニュース記事をベースにお伝えいたします。

世界中で鉱物を自分の手中に収めようとしている中共(イメージ図)

日本人であれば、レアアースの件で痛い目にあっているので、常識を持ち合わせている人であれば鉱物資源の重要性はよ~く分かると思います。しかし、現在中国は次世代の工業界で主導権を握ろうと、グローバル規模で鉱物資源を奪おうと画策しております。中国は世界の多くの国よりも10年以上も前から様々な重要な鉱物に対して戦略的に先手を打っていると言われております。例えば、電気自動車、太陽光パネル、スマートフォン、風力発電機、人工衛星や半導体など、殆どすべての新しい科学技術産業に関する鍵となる原料を中国は様々な方法を用いて産出国や会社を操ることができる状態に持って行っております。

具体例を出すと2004年から中国政府は「走出去」と言われる「対外直接投資政策」を国を挙げて推進しており、中国資本の企業は競合する外国企業をM&A、つまりは合併と買収を行なっております。英国のフィナンシャルタイムズの記事では、10数年前の大型企業M&Aブームの際に、中国は海外で170億米ドル以上の企業をM&Aしていると伝えております。その時に主に買われたのが石炭や鉄鉱石などの資源を産出する外国の鉱山でした。

しかし、2018年以降、中国はM&Aの狙いを先ほど述べた鉱山ではなく、電気自動車などのクリーンエネルギー技術に関連する鉱物に関連した企業に変えており、特にコンゴ民主共和国、セルビアやチリに埋蔵されている銅、コバルト、リチウムなどの資源関連企業のM&Aが目立っております。2018年には過去最高額の買収案件として、中国 天斉リチウム社が41億ドルでチリのリチウム会社SQMの24%の株式を取得したことが象徴するように、既に世界のリチウム生産量の半分以上を有しているとされております。そしてしたたかと言うか、中国企業はこのようにして大金を払って企業を買収する一方で、リオ・ティントやアングロ・アメリカン、BHPビリトン等の競合する西側の鉱業・資源分野の多国籍企業とうまく調整を取ったりしております。

最近になってアメリカはサプライチェーンの脆弱性に対して警戒を鳴らし始めましたが、この時、中国は既に戦略的価値の高い鉱物に関しては、主要な産出国の資源を早い段階で確保しておりました。そのため、戦闘機または太陽光パネルなどの各種原材料に関しては、もう既に大きな影響力を持つようになってしまったというのが現実でございます。その中でも米国を最も困らせている部分でもあり、且つ外国依存から脱却できない部分として、21世紀の科学技術で最も重要となる金属と鉱物が挙げられます。

中国BYD社の製造工程

自動運転を含む自動化技術、5G、太陽光パネルから電動自動車まで、殆どすべての次世代科学技術産業において、コバルト、リチウム、アルミやレアアースのような鉱物や金属が必要となっております。予想されている未来として、世界でこれらの鉱物に対する需要が爆発的に増加するとされており、電気自動車だけを見ても必要となる鉱物は未来十数年間で1000%以上の需要が増えると予想されております。これ以外にもヒ素、ジルコニウム、アンチモン、ビスマス、ガリウム等を含む少なくとも22種類の重要鉱物がチャイナリスクの非常に高い鉱物として米国の重要鉱物リストに載っております。例えば、ガリウムは次世代の半導体素材として窒化ガリウムが注目されていますし、高効率と言われているガリウムヒ素系の次世代太陽光パネルも普及するとみられているので、楽観視できない状況だと私は考えます。

そして北京当局は正攻法はもちろん賄賂のような方法など、様々な方法を用いて全世界にある鉱物に手を出しております。まずは多くの人が知っているように、莫大な資金力を用いて、世界各国にある最大規模の鉱山を買収したりしておりますが、やはり注目すべきは政治的に不安定であったり、国家運営の透明性の欠ける国家を獲物にしたりしております。こういう国はトップや幹部クラスの人物さえ狙えばいいので中国の得意分野なのかもしれませんね。
そして次は、北京当局は加工設備に関しても多額の投資を行なっております。原料を製錬して工業用品にする部分に投資して、サプライチェーンにおいて北京当局が重要な地位を占めるよう画策しております。それ以外に、中国は一帯一路が進められている国家にある鉱山の所有権を中国企業に移したり、新規開拓をしたりしている事も忘れてはなりません。

最も具体的な例を1つ挙げるとするのであれば、コバルトとなります。現代社会においてスマホから電気自動車まで、飛行機のエンジンから磁石まで、コバルトは日常用品から軍用品まで幅広く利用されている鉱物となります。また電子化された社会において最も革命的な製品、リチウムイオン電池の中にはコバルトは不可欠な成分であります。2018年、米国内務省は、コバルトを米国の国家安全と経済に関する重要な鉱物資源の1つに指定しております。アメリカ地質調査所の調べでは50種類もの鉱物の中で、コバルトは一番チャイナリスクの影響を受ける鉱物の一つと考えられている訳でございます。

世界最大のコバルト輸出国であるコンゴ民主共和国は、現在コバルトの埋蔵量の49%を占めているといわれており、コンゴにある40~50%のコバルト産出会社は既に中国企業に買収されてしまっております。米国政治ニュースサイトのPOLITICOの分析では、コバルトは、中国が「国家主導型」の産業政策を最大限に利用している、つまりは我々にとっては悪用しているとでもいうのでしょうか、彼らの思うようにコントロールできる状態になっていると分析しております。中国政府は2007年に60億ドル相当のインフラ整備への融資と引き換えに鉱山取引の権利を得ております。こういう情報は日本貿易振興機構JetroのWebサイトにも載っています。しかもご存じのように中国企業のインフラ整備は現地の人を優先的に採用して進められるわけではなく、多くのチャイニーズが現地に行き労働する訳ですから、融資という名の搾取と言っても良いかと思います。
ちなみに、コンゴのコバルトの採掘場では、子供たちが労働に駆り出されているという噂もあり、かつ国内の紛争の影響もあり供給も安定しておらず、価格も中国様の望むような価格になっているとも言われておりますので、コバルトがこんなに重要だという事、そして鉱物も戦略物資になり得るという事、改めて思い出すべき情報だと思い、動画にしたわけであります。

ますます重要性が増すと言われているコバルト

またリチウム鉱山に関しては、2017年の1年だけでも20社近くが中国企業にM&Aされております。2018年においては、外貨流出を厳しく制限していた環境下においても、天斉リチウム社が100億人民元、15とか16をかけるので1500億円相当ですね、100億人民元を使ってリチウム関係の会社のM&Aを行なっております。つまりは中国政府主導の下、継続的に外国の鉱山買収を繰り広げて、中国が世界中のリチウム鉱山を掌握しようとしているのがはっきりと読み取ることができるのであります。

そのため、電気自動車の分野においては、中国はリチウム開発でリードしているだけでなく、大部分の電池生産の部分においても市場を抑えていると言われており、更には中国は世界最大の電気自動車マーケットを有しているため、世界の多くの企業が中国に工場を建設して、工場と部品提供会社との距離をなるべく近くしようと考えております。このため中国は精錬加工という分野についても独占的な地位を築きつつあるという点、お伝えしたいわけであります。

それ以外にも、中国はマンガン加工のサプライチェーンにも介入しようとしているところです。マンガンと言う鉱物はマンガン電池のように古くから利用されている鉱物であり、且つ世界各国に豊富に埋蔵されているものの、マンガンを精製するのは中国企業がほぼ独占していると言われております。鉄筋の強度を増すための添加物から電池で使われる化合物など、中国が生産するマンガン関連製品は世界の総生産量の90%以上を占めている訳であります。そして高純度のマンガンは電気自動車においてはますます重要な地位を占めるであろうと言われており、中でも最近フォルクスワーゲンとテスラ社は高純度マンガンは高価なバッテリー原料の代替物になると言い始めております。

また別の重要鉱物の優位性を確保しようと触手が動いております。中国企業は最近まで世界で広く流通している資源の価格を操作しようと企んでおりました。ウォールストリートジャーナルの報道では、2011年中国鉄鋼製造会社が砂鉄のマーケットを操ろうとしたが失敗に終わったという記事がありました。
そして2010年、鮮明な記憶のある尖閣諸島漁船衝突に関して中国はレアアースの輸出価格を引き上げるなどして制限したことも価格操作の一例として取り上げられております。また2021年3月に中国企業が電池の原料となるニッケルを廉価に供給できると表明し、1日でニッケル価格を9%も下落させるなど、中国企業がニッケル市場においても強い影響力を持っている事を見せつけようとしている訳であります。

中国の長期的な戦略として、世界の重要鉱物の主導権を奪おうとしており、同時にデジタル経済という時代において優勢に立ちたいと考えている訳であります。元々、石油や天然ガス採掘のような分野において数兆ドルに用いようとしたお金を、ハイテク産業で不可欠な特殊な鉱物の為に使うよう方向転換したことが読み取ることができます。2021年2月には、中国は国家安全保障の脅威となる国や企業に対してレアアースとその製錬技術の輸出に制限する方向で動いているという情報まで出てきました。ただ、これは公式ではなくあくまでも関係者から出てきた情報なので実際にそうするかどうかは不明ですが、いずれにしても中国の過去の行ないと彼らの本質を見ると、将来的にこのような重要鉱物という面において、米中の緊張した対立が更に激化していくのは想像に難くないですよね。

では、中国による市場の掌握をどうやったら打破できるか?という点に関して自動車メーカー及び部品メーカーは使用済みのバッテリーからコバルトをより多く回収する方法を試している一方で、他の国に目を向けて重要素材の替わりになる資源を探したりしております。例えば、パナソニックですが、目標として2~3年以内にコバルトを使用しない電池の量産をしようとしております。またパナソニックとテスラが共同で推し進めてきたニッケル-コバルト-アルミニウム酸リチウムイオン電池、いわゆるNCA系の電池においてはコバルトの含有量が極めて低く、5%にも満たないと言われております。
ただ気になる所としてはコバルトフリーの電池はお隣の国のLGケミカルと競合するので、価格競争になり、日本製品が品質では勝るものの、そこそこの品質で価格はべらぼうに安いという製品をLGが作ってしまうと、価格で負けて市場から追い出されてしまう、ということを懸念しております。

いずれにしても世界が武漢肺炎で苦しんでいる中、アメリカは治療のための薬品や医療機器の供給をストップさせられたために、物資が外国に過度に依存している部分を意識し始めました。特に中国共産党に対してとかですね。ですので、これについてアメリカの国会議員は重要産業のサプライチェーンを回帰させて、アメリカの工業を強くし輸入に頼る体質を改善することが今アメリカに求められている優先事項だと強く求めているのは当然の事ですよね。

またアメリカの国防の専門家ジョン・アダムス氏は、アメリカが重要鉱物を過度に輸入に頼っている問題を見直さなければ、すべてのインフラ投資、高速通信、クリーンエネルギー対応と国家安全保障と国防に対するサプライチェーンの確立非常に難しくなると指摘しております。彼は、もしアメリカが国内生産を重視し、またサプライチェーンを過度に輸入に頼っている問題解決を優先しなければ、経済と国防に対してあとあと大きな災難をもたらすことになるだろうと警鐘を鳴らしています。これは日本においても重要で、ただでさえ自衛隊や海上保安庁など直接国防と関わる人と組織に対して批判的な目を向けられるご時世、最近はやっと少しずつですが理解を示してくれる一般人も出てきましたが、ましてや間接的な戦略物資である鉱物というものに関しては、商社だけに任せずに国としてもサポートしていくべきだと考えます。もしかするとマスコミなどは報じないだけで実は裏で政府がこれら鉱物を扱う商社をサポートしているんでしょうかね。

ただ、色々と不安材料を述べてきましたが、今や単一国家だけで最先端の技術製品を作ることができないので、鉱物だけを抑えたとしても、やられた側も部品を提供しないという報復措置が取れるわけです。ですが、今、問題だと思うのは、そういう報復措置を取る姿勢を日本ができるか?制限を行なった相手国に強く抗議する事が出来るのか?という点かと思います。そういった国会議員を選ぶこと、当選した後の議員の働きぶりにも日本国民は注目していくべきだと考えます。

2021年7月8日 編集(八度妖)