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AI技術 台湾

AI技術で蘇るカラー化された国策映画「台南州 国民道場」

台湾史を知る上での資料の1つとして台湾映画協会によって製作された作品をYouTubeにアップしました。 これは台南州に建設された皇民教育の場である国民道場の様子を描いた作品となります。
撮影時期:1943年

台南州国民道場は、当時の台南州台南市桶盤淺汐見町に1941年に台南州民の体と精神、そして皇民精神を養う施設として建設が開始された。またその周りには多くの関連施設があり、大型の公民訓練地域となっていた。現在、台南市南区台南市立野球場から国民路一帯がその場所に当たる。台南州は元々このエリアに明治神宮外苑の総合体育場のような施設を建設しようとしたが、その大部分は未完成のままとなっている。その中にある忠霊塔は、台南州青年の奉仕によって建立されたものである。

上が当時の地図(下部が国民道場)、下がGoogle Map

1942年6月に国民道場は運用開始し、その施設には、大衆浴場、禊場、教室、講堂、食堂、本部、日輪舎があった。「日輪舎」または「日輪兵舎」は、円形の竹で出来た道場であるが故に「日輪」と呼ばれた。1棟が約38坪、計50人が居住していた。元々の計画として20棟を建て、1000人を収容する目標であった。訓練生は台南市各市郡の青年団員で、毎回300人を募集して1か月訓練していた。現在の竹溪禅寺会館の近くである。

写真の一番後方に三角の屋根が見えるのが「日輪舎」と呼ばれる兵舎である

台南州国民道場の周囲には合計12の施設を建設する計画があり、既存の台南市野球場、プールを含む、テニスコート、州民広場、州民道場、忠霊塔、相撲場、武徳殿、公会堂、陸上競技場、大弓場、馬場であった。第一期工事は1941年に始まり、州民道場、州民広場、相撲場と忠霊塔であり、後期工事は未完成である。(野球場とプールは中華民国時代の建設)

忠霊塔
元々は台南公園内にあった忠魂碑をその後戦争で亡くなった台南州民を祀るために台南忠霊塔として州民広場の東側へ移設した。当時の【台湾日日新報】では忠霊塔は蔡重要施設であるとされており、国民道場は「付設」という位置づけであった。1941年に完成し、最後の台湾総督安藤利吉が書いた「忠靈塔」という文字であったが、1948年「積健為雄」へと取り換えられた。

公会堂
現在市内にある公会堂は当時既に築30年以上であった。元々の計画では州民広場に収容人数3000人の台湾最大の公会堂を建築する予定であった。

1911年に建てられた台南公会堂。現在台南市指定の古跡に指定されている。

初稿 2021年3月1日 編集・翻訳(八度妖)
再UPLOAD 2022年9月29日 (八度妖)

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AI技術

白黒映像のカラー化手順

最近はAI技術を使って無料で白黒写真をカラー化するサービスが登場しておりますが、とうとう白黒映像も無料でカラー化できるようになりましたので、ここでカラー化する方法手順を記載したいと思います。

※この映像は比較的白黒とカラーの差がはっきりしていたため引用したのであって、戦争を美化するという意図は決してございません。
  1. 前提条件
  2. 手順1 カラー化できるサイトへアクセス
  3. 手順2 カラー化エンジンを起動させる
  4. 手順3 カラー化するためのプログラムを立ち上げる
  5. 手順4 いよいよ映像をカラー化する
  6. 長時間の映像のカラー化手順

前提条件

・Googleアカウントを持っておりログインしている状態である事
・PCまたはタブレットを持っている事

※スマホでも可能だが「ブラウザのPCモード」を利用する事

手順1 カラー化できるサイトへアクセス

以下のURLをクリックするか「deoldify」というキーワードで検索する

https://github.com/jantic/DeOldify

手順2 カラー化エンジンを起動させる

AIを使ったカラー化には「グラフィックカード」と呼ばれる高性能映像処理器が必要なのですが、GoogleのColabというサービスでは、誰でも無料で使えます。先程の手順1でアクセスしたサイトの赤枠「Open in Colab」をクリックします。

「Open in Colab」をクリックすると別タブでDeOldify(カラー化)エンジンが立ち上がります。

手順3 カラー化するためのプログラムを立ち上げる

技術的な部分を説明すると色々と難しくなるため、キーワードを見ながらプログラムを立ち上げましょう。

画面右上が以下のようになっている事を確認します。緑のチェックマークが無い場合はしばらく待ちましょう(5分以上変化がない場合は、ブラウザの再読み込みを行ないましょう)

画像13
ア.「Git clone and install DeOldify」に対する操作を行ないます。下の図①[!get clone https://~~] の[ ]にカーソルを当てます。

[ ] にカーソルを当てると再生ボタンのようなマークへと変わるので、再生ボタンのような部分をクリックします。

イ.ボタンをクリックすると以下のようなメッセージが表示されるので「このまま実行」をクリックします。

このメッセージは「データを読み取られても自己責任ですよ、Googleは責任取りません」という意味合いです。2021年6月11日現在、私が見た限りデータを読み取るソースコードは含まれておりませんでした。

ウ.手順イを実行すると再生ボタンがクルクルと回り、最終的に以下のような状態となります。最後の行に「done」とあれば次のステップに行きます。
※時々「done」と表示されても再生ボタンがクルクル回っている場合があるのでその場合はクルクルが止まるまで待ちます。

エ.次に「cd Deoldify」の [ ] にカーソルを当てて再生ボタンになったらクリックします。

/content/DeOldify と表示されればOKです。次のステップへ行きます。

オ.「Setup」に対する操作を行ないます。赤枠の[ ]にカーソルを当て再生ボタンが表示されたらクリックします。[ ] が [3]になったら次のステップに行きます。

カ.「!pip install -r colab_requirements.txt」という箇所の[ ]にカーソルを当てて再生ボタンになったらクリックします。長い行が表示され、最後の行に「RESTART RUNTIME」と表示されますので、クリックします。
※2022年10月現在、このRESTART RUNTIMEは表示されないようです。表示されなければ次のステップ【ク】へ進んでください。

キ.「ランタイムを再起動してもよろしいですか?すべてのローカル変数を含め、ランタイムの状態は保存されません。」と表示されるので「はい」をクリックします。
2022年10月現在、この手順は不要のようです。表示されていれば「はい」をクリックしてください

ク.画面上方にある「cd Deoldify」の [ ] にカーソルを当てて再生ボタンになったらクリックします。/content/DeOldify と表示されれ、且つ[ ] が [1](または再生ボタンのまま)へと変われば OKです。次のステップへ行きます。

ケ.再度「#NOTE: This must be the first call in order to work properly!」という行の[ ] にカーソルを当てて再生ボタンが表示されたらクリックします。[2](または再生マークのクルクルが停止)になったら次のステップに行きます。

ケ.以下
[import fastai]
[!mkdir ‘models’]
[!wget https://~~]
[colorizer = get_video_colorizer()]
に対して1つずつ [ ]にカーソルを当て再生ボタンになったら クリックして [数字]になったら下の項目の[ ] へカーソルを当て再生ボタンをクリックという操作を行ないます。

所要時間の目安として
[import fastai] (すぐ完了)
[!mkdir ‘models’] (状況により数分かかる)
[!wget https://~~] (すぐ完了)
[colorizer = get_video_colorizer()](状況により数分かかる)
となります。

コ.最終的にこのように表示されます。
※[ ]内の数字は場合によっては[4][5][6][7]になっている場合があります

手順4 いよいよ映像をカラー化する

手順3でカラー化する準備は整いました。これからクラウドストレージ内にある白黒映像またはYouTub、DailyMotionやニコニコ動画にある白黒映像のURLをメモしておきます。

※注意 およそ20分を超える映像は本編で紹介した方法では失敗する可能性があります。

ア.「source_url」に白黒映像のURLを貼り付けます。そして②のwatermakedのチェックを外し、③の [ ] にカーソルを当てて再生ボタンになったらクリックします。

イ.再生ボタンがクルクル回っている間はカラー化処理をしています。下部赤枠は進捗状態。処理が完了するおおよその時間も表示されます。

ウ.進捗状況が100%になっても再生ボタンがクルクル回っています。その場合は、カラー化された映像が表示されるか進捗バーの下部に
「Video created here: video/result/video.mp4」と表示されるまで待ちましょう。カラー化された映像が表示される場合は、右下の点3つをクリックして「ダウンロード」をクリックするとPCにダウンロードされます。

エ.もし「Video created here: video/result/video.mp4」と表示されたのに、カラー化された映像が表示されない場合は、画面左側にあるフォルダアイコンをクリックします。

オ.「DeOldify」→「video」→「result」フォルダを展開し「video.mp4」を右クリックして「ダウンロード」をクリックするとダウンロードが始まります。

カ.「video.mp4」の右側に円グラフのようにオレンジで進捗状況が表示されます。

キ.通常は「ダウンロード」フォルダーや「ドキュメント」フォルダーにダウンロードされたファイルが格納されているはずです。

続けて別の白黒映像をカラー化する場合は、手順4「ア」から行なってください。数時間経過した後にカラー化する場合は、最初からやり直してください。

それでは、カラー化された映像をぜひお楽しみください!

長時間の映像のカラー化手順

しかし上述の方法では、さまざまな制限があるため、長時間(主観的ですが20分以上)の映像をカラー化すると失敗する可能性があります。長時間の映像をカラー化する方法は以下Webサイトで有料(500円)で公開しております。

https://note.com/asianews_ch/n/n39a2ab6f0bc9/

初稿 2021年6月14日 編集(八度妖)
再アップロード 2022年9月29日 (八度妖)

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AI技術 影武者

プーチン大統領の「影武者説」をAI顔認証技術を用いて検証

ロシアのプーチン大統領には影武者がいると噂されていたが、2020年2月27日に過去に公の場に立たせる影武者を作る計画があったことを、プーチン大統領自ら公表した。しかし、プーチン大統領自身で影武者を使うことを拒否したので、この言葉通り受け止めるのであれば、公の場に姿を現したのはすべて本物のプーチン大統領ということになるが、はたして本当であろうか?加齢による変化があまり見られず、目の下のたるみが消えたなど、ネット上では噂が尽きない。
ということで、アマゾンが提供しているAI顔認証システム「Amazon Rekognition」を用いて、プーチン大統領の影武者が公の場に姿を現したことがあるかどうかを検証してみた。

※私は顔認識の専門家でもなく、国際情勢に精通している訳ではないので、あくまでもエンターテイメントとして検証をご覧いただければ幸いである。

また過去に「金正恩氏の影武者説を検証」というコンテンツもありますので、併せてご覧いただければと存じます。

検証方法

AWS(Amazonのクラウドサービス)にあるAmazon Rekognitionという内にある「顔の比較」という機能を使用

※ちなみにこの「Amazon Rekognition」を導入している企業は米国CBS放送、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)、共同通信、毎日新聞等である。

使用する写真

検証するにあたりどの写真を本物と判定するかを決めなければならい。ということで、影武者を使う事がふさわしくない場面と言えば、国際的会議であると私は考える。なぜ国際的会議が影武者にふさわしくないか?というと、様々な首脳と短時間のうちに話し合いを行なわなければならず、また現在は声紋による認証もあるため、顔はそっくりでも声紋までも同じにするのは、更にハードルが上がるためであることと、ましてや影武者の一言、特に失言などで国際情勢が変わる事だってあり得るかもしれない。そんな大事な場で、わざわざ影武者を出席させることは、無いだろうと考える為である。

ということで、上にあるG20大阪サミット2019に参加したプーチン大統領の写真を本物と仮定して検証していこうと思う。


検証1

G20大阪2019のプーチン大統領の写真と2000年に初めて大統領に就任した時の写真を比較

結果として

類似率97.7%

19年が経過して、だいぶ顔にも老いが見え始めているにも関わらず、AWS顔認証においては同一人物と判断した。

検証2

同じくG20のプーチン大統領の写真と、2020年2月に影武者計画が存在したことを認め、インタビューに応じているのは本人だと答えた時の写真を比較

類似率99.9%

G20から半年しかたっていないため、ほぼ本人だという結果であった。

検証3

2010年にボトックス注射を行ない劇的に若返ったというニュースがあったが、若返る前の写真とG20大阪サミットの写真を比較

類似率99.9%

肉眼で見ると確かに皺などがなくなり、若返っているが、AI顔認証的な角度から見ると、何も変わっていないということがわかる。

検証4

ネットで出回っている目と口の距離が異なるという写真
一つが2018年に撮影されたものであり、もう一つが2000年にエリツィン氏と一緒に映っている写真
1:1.04という比率と1.18という比率なので影武者だと言われているが、果たしてどうなのであろうか

類似率99.6%

こちらについては、上を向いたり、下を向いたりすることでこの比率が変わるので、この比率だけを以って影武者と判断することはできない。

この図は極端な例であるが、若干上を向いている、下を向いているという形であれば、比率が違ってくることが分かる

検証5

1980年代にKGBで働いていた頃に撮影されたとされる写真とG20の写真を比較

本人ではない

30数年前の写真ということもあり、さすがに同一人物とはみなされなかった。これはAWSとしても30数年前の写真と比較することを想定したアルゴリズムで顔認証プログラムを作っている訳ではないからであろう。

検証6

では、30数年という長い期間ではなくもう少し期間を狭めた場合はどうなのであろうか。2000年就任当時の写真とKGB時代の写真を比較

類似率99.5%

検証1でG20大阪での写真と2000年就任当時の写真が同一人物と判定されたのであるから、その2000年の写真とKGBの写真が同一人物と判断されたという事は検証5は、加齢による顔の変化にプログラムが追い付かなかったと言っても良いのかもしれない。

検証7

KGBの写真と、更に若い頃の写真との比較

類似率99.7%

プーチン大統領は1952年生まれなので、10代の頃の写真と考えると、1960年代に撮影された写真と推測されるが、1980年代に撮影された写真と比較しても本人だと判定されたので、ここまでで出てきた写真はすべて本物のプーチン大統領の写真だと考えられる。

検証8

そもそもこのAWS Rekognitionの顔認証の精度は如何なものか?という疑問もあるだろうから、元プロ野球選手のイチロー氏のそっくりさんである「ニッチロー’」さんの写真と比べてみた。ぱっと見すると、どちらも本人のようである。というか、左側の写真がない状態で、右側の写真だけを見せられれば、私は本人だと思う。

本人ではない

さすがにそっくりさんレベルでは「本人でない」ことを見抜くことができるようだ。ちなみに詳細を見ると「類似率 19.9%」となっていた。


結論

比較する写真の撮影された期間の大きな隔たりがなければ、検証した写真すべてがプーチン大統領ということになる。(あくまでもG20大阪に参加したのが本人であれば、という前提)

なお、このAWS Rekognitionを使っている中で感じた事としては、写真の解像度が低くなればなるほど、同一人物と判定する確率が高くなるという事である。つまりは、より正確な顔認証を行なうのであれば、高解像度の写真を使わなければならないということと、顔認証全体に言える事なのだが、顔の向きを同一にすると更に精度があがるということである。

耳の形が違う、誰々が別人だと証言しているから替え玉だ、という情報もあるが、耳の形は撮影角度により大きく変わることもあり、証言はあくまでも「主要な判断材料」にはならないと筆者は考える。
(証言のみで判断すると、隣国のお婆さんのいうことが事実になってしまいます)


ちなみに高須クリニックの高須幹弥先生は、金正恩氏の影武者説について語る動画の中で、高須先生の見解として、

「そもそも現代のこの世の中で影武者を作るって、ほぼ不可能だと思うんですよ」

と主張しており、武田信玄には影武者が存在したことは広く知られているが、その頃のように「周りの側近しか(主君の)顔を知らない」という環境であれば影武者の存在意義はあったのかもしれないが、

今はもう写真ももちろんテレビもインターネットもあるし、しかもかなりの高画質の画像とか動画が世界のどこでもスマホ1台、パソコン1台で見れるわけじゃないですか。
もう今の世の中、これだけの情報化社会で影武者を作るって、もうほぼ無理だと思うんですよ。」

と影武者説を否定していた。美容整形の専門家がこう語るのであれば、恐らくプーチン大統領も同じことが言えるのではないかと思う。

高須クリニックの高須幹弥先生も影武者説を否定

この写真も検証してほしい

というものがあれば、コメント欄にURLを張り付けていただければ、この検証後、このブログに追記していこうと思います。(比較元の写真の指定がなければ、G20大阪の写真を使用します)

2022年9月28日 編集(八度妖)