ロイターの報道によると、豪州外交政策のシンクタンク「ローウィー国際政策研究所(Lowy Institute for International Policy)」が毎年行っている世論調査で、豪州人は、国際情勢の関心がCOVID-19や気候変化に対する懸念からロシアと中国に対するものへと変わっており、3/4の回答者が中国を軍事的脅威ある国と認識しており、豪州人にとって最大貿易相手国の中国への評価が急速の下落している事を反映している。
ローウィー研究所は3月に2000人の豪州人に対して調査を行ない、92%の回答者がロシアのウクライナ侵略に対して懸念を示しており、87%が中国とロシアが協力し合うことを懸念していることが分かった。ローウィー研究所の世論調査主任であるナターシャ・カッサム(Natasha Kassam)氏は、「ロシアのウクライナ侵略はオーストラリア人の自身の安全と地域に関する視点を大きく揺さぶった」と述べている。」
ローウィー研究所の調査では、4分の3の回答者が、今後20年以内に中国は豪州にとって軍事的脅威ある国になる可能性が「やや高い」または「非常に高い」と考えており、前回2018年の調査より29ポイント高くなった。これは、5年前には、多くの豪州人は中国は「経済パートナー」と捉えていたが、現在は「安全保障上の脅威」へと変化したことを反映している。
最新の調査では、88%の豪州人が中国の太平洋島嶼国に建設しようとしている軍事基地の可能性を懸念しており、多くの豪州人は豪州は太平洋地区に支援するべきだと考えており、災難援助支援は93%、ワクチン援助は86%、経済発展の協力は84%、中国の影響力を食い止める事は82%であることが分かった。
つまり3分の2に近い豪州人が、米国と中国間で台湾に関する軍事衝突が起き、重大な脅威になりうると考えており、昨年よりも12ポイント増えた。そして42%だけがCOVID-19が重大な脅威と考えており、昨年よりも17ポイント下落している。
カッサム氏は、豪州新政府は国防予算を増やし、中国とロシアに対して強硬な政策を取ることに国民が支持している事が分かったと述べた。
豪州新総理のアンソニー・アルバニージ氏の5月の就任以降、豪州近隣国家のソロモン群島と中国が安保協定を結んだことを懸念している。中国駐豪州大使は豪州新政府に両国の関係を改善するよう呼びかけた。
豪州と中国の最近の関係は悪化しており、キャンベラ当局はCOVID-19の起源を調査するよう求めたことに対し、豪州の電力資源、農業などに関係する製品の輸入を禁ずるなど北京当局による両国の貿易関係に対する経済報復を行なわれるようになった。
2022年6月29日 編集・翻訳(八度妖)
2022年9月29日 再UPLOAD
Web管理者感想
今回、民進党支持者の購読者が多い「自由時報」の記事をベースに翻訳・編集したのだが、ダウジョーンズのニュース記事を見ると
「中国が台湾を侵攻した場合、豪州軍が防衛に関与することに賛成する豪州人が51%」という項目があったのだが、自由時報が参照とした元ネタのロイターにはこの部分が記載されていなかったのか、はたまた記載はあったが自由時報記者が翻訳しなかったのかは不明だが、非常に気になった。
通常であれば、過半数が台湾防衛に関わることを支持するという世論調査は大きく取り上げられるはずなので、恐らく前者だと考えられる。ちなみに記事は以下のような感じ。
「Most Australians expect China will pose a military threat to Australia in future and a slim majority would support the involvement of Australia’s defense forces to defend Taiwan in the event of a Chinese invasion, an annual poll by Sydney-based think tank the Lowy Institute found.」
(シドニーに拠点を置くシンクタンク、ローウィー研究所が毎年行っている世論調査で、オーストラリア人の大半が、将来的に中国がオーストラリアに軍事的脅威をもたらすと予想しており、中国が台湾に侵攻した場合、オーストラリアの国防軍が台湾を防衛することを支持する人が半数を少し超えていることが明らかになった。)
「It found 51% of Australians would favor the country’s military supporting U.S. intervention if China invaded Taiwan, an eight-point increase from 2019 when the question was last put to respondents.」
(それによると、中国が台湾に侵攻した場合、同国軍が米国の介入を支援することに賛成するオーストラリア人は51%で、前回回答者に質問を行った2019年から8ポイント増加したことが分かった。)
米国の軍事介入を支援する否かは最終的には政府トップが決める事だが、国民の声というのも非常に重要であるため、現在の豪州は正しい方向に向かっていると私は感じた。