皆さん、映画は見ますか?昨年(21年)、中国では「長津湖」という朝鮮戦争の戦闘の一つ「長津湖の戦い」をテーマにした映画が大ヒットしたという話を聞きました。見てください、映画に感動してカップルがエンディングに敬礼している姿も見かけられる程です。
2日間で興行収入が6億元(約100億円)にも達するなど、人民解放軍賛美の映画が流行る雰囲気があるという事が読み取れますね。この映画をきっかけにして中国人民が朝鮮戦争の真相を知ろうとする動きも出ているようです。
中国にはグレートファイヤーウォールと言われるインターネットの万里の長城のような仕組みがあるので、一般人が触れる朝鮮戦争に関する情報は中国政府の都合の良いような情報にしか触れられないと思いますが、やはり中には長城の壁を超えて海外の情報にアクセスする人民もいるわけで、そんなネット民が10月7日、中国版Twitterと呼ばれるWeiboのコメントに
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寒戦※での最大の成果は玉子チャーハン※だな。玉子チャーハンありがとう!もし玉子チャーハンが無かったら、我々はチョーセンのようになってしまう。まぁ、今もほとんど変わらないけどね
※後ほど説明します
という書き込み、翌日このネット民は南昌市公安に「アメリカに立ち向かい朝鮮を援助した人民志願軍の勇気を侮辱する言論であり、社会に悪影響を与える」として10日間拘留されました。
まず、コメント内にある「玉子チャーハン」ですが、これは毛沢東の長男の毛岸英を揶揄しているのは、歴史好きであれば常識かと思います。それで朝鮮戦争で中共は約300万人弱と言われる部隊を朝鮮半島へ送ったと言われております。ちなみに最前線で戦っていたのは、国共内戦に敗れて台湾に逃げ込むことが出来なかった国民党の残党だと言われております。ですので、結構人海戦術で人間の盾として使われたとも言われておりますが、当時もそういう噂があったので、そう言われないために毛沢東の息子、毛岸英を前線へ送り、彭徳懐(ほうとくかい) 司令官のもとで戦ったと言われております。
そして1950年11月下旬、連日アメリカ軍はナパーム弾を使用して、爆撃を行なっていたので、彭徳懐 司令官は日の出前までに朝食を食べ終えろ!という命令を出しておりました。つまりは日の出後は全ての部隊で調理をしてはいけないという命令ですね。それは、調理の際に煙が出てしまい、その煙を見て米軍機がナパーム弾を落とすからですね。それで、運命の11月25日、毛岸英は、玉子チャーハンがどうしても食べたかったみたいだったのですが、空が明るくなる前に起きる事ができなかった当然先ほどの命令があるため、チャーハンなんて食べられるわけがありません。ちゃんと朝早く起きれば良かったのでしょうが、お坊ちゃまだったんでしょうかね、チャーハンを食わせろと言いだしたんですね。もちろん部下は、彭徳懐の命令があるから作れませんよ~、と断ったのですが、「俺を誰だと思ってるんだ、アメリカに立ち向かい朝鮮を支援している毛岸英だぞ、毛沢東の息子だぞ」と言う訳ですよ。そう言われてしまうと部下としても逆らう訳にもいかず、火を起こしてチャーハンを作ろうとするんですが、煙が出てしまうんですよね。
あっ、と思った時には6機のアメリカとオーストラリアの軍用機がやってきてナパーム弾をピュー、ピュー、ピューと落していて、毛岸英はお亡くなりになってしまうんですよね、
これが有名な玉子チャーハン事件と言われている訳であり、あまりにも不名誉な死に方だという事で長年封印されていたし、今でも場合によってはNGワードになっているため、冒頭に出て来たネット民は10日間の拘留という目に遭ってしまったわけであります。
しかも最近習近平総書記が毛沢東思想を復活させようという動きもあるといわれているじゃないですか。更には毛沢東は彼の人生で朝鮮戦争について語る事は少なかったと言われております。何百万人もの兵を派遣しても勝てずに更に玉子チャーハンとなると、毛沢東にとっては、恥ずかしい経歴となるわけですし、今回冒頭の「長津湖」が大ヒットした理由がアメリカに勇気をもって立ち向かった人民志願軍の姿に感動しているからですよね。そんな雰囲気に玉子チャーハンを持ってくると、雰囲気台無しになってしまうから、こんな書き込みすら身柄拘束に至ってしまうのであります。
ちなみに、「寒戦」という言葉も出ておりますが、これは寒いという漢字と韓国の韓が同じ発音であるため、韓半島での戦いという意味があるのと同時に、極寒の地である満州、北朝鮮の冬でも戦ったという意味も含まれております。しかし、玉子チャーハンと一緒に出てくると言う事は、冬の戦いにおいて、多くの兵士が凍死したということを指していると当局に判断されたと言われております。
ちなみに、玉子チャーハン事件とは言われておりますが、当時はアメリカの軍機がやってきて爆弾を落とされオフィスで死んでしまったとしか公表されておりませんでしたが、その後彭徳懐の部下であった楊迪という人物の回想録で初めて、その原因がチャーハンであると公表されたわけです。しかも玉子チャーハンではなく、チャーハンとだけ記されておりました。それはなぜかと言うと、外国人貨幣が存在した中国をご存じの方は知っているかもしれませんが、当時玉子というのは貴重で、私の友人の彼氏が中国人なのですが、1970年代80年代頃までは卵なんて誕生日の時にしか食べられないような貴重な食べ物だったわけです。しかし2002年、2003年頃に、チャーハンではなく玉子チャーハンに変更されていた訳であります。
つまりは、みんなが文化大革命やその後のようなひもじい生活から経済が発展した2000年代前半であれば、食べ物もろくに食べられない戦場の最前線でさえ、そんな贅沢な卵を食べられた、つまりは毛岸英は特権階級だという批判は出ないであろうと判断して「玉子チャーハン」へと変更されたと言われております。また当時、卵は栄養を補充する補助食品的な意味もあったので卵を食べられるのは病人と怪我人のみであり、健常者であった毛岸英が卵を食べたというのは軍紀違反になるため、長年玉子チャーハンには触れられておりませんでした。
また一説にはチャーハンでは無くて焼きリンゴだという説もありますが、その辺は定かではないものの、煙が上がったために爆撃されたというのは事実なようです。
※この話は台湾メディアで語られていた事なので、話を盛っている可能性があります。エンターテイメントとしてお楽しみください。
ちなみにこれ以外にも、朝鮮戦争では人民志願軍約100万人が戦闘での死亡や餓死や凍死したと言われておりますが、「氷彫刻連隊」という言葉も、1950年11月に多くの連隊が匍匐したまま凍死したという事故というか、失敗した作戦もあり、現在共産党はこれを勇気の象徴だとたたえておりますが、ある経済評論家は軍隊全員凍死を招いた愚かな行為だと批判したことで拘留されたというニュースもありました。
いずれにしても、現在の米中関係にイラついている中国人民がこの「長津湖」の映画を見てストレスを発散しているのは読み取れるわけですが、この映画をきっかけに朝鮮戦争を調べようとする人民が出てくるのは当然で、朝鮮戦争の失敗を人民に見られないようにするため、当局が映画に関するSNSの投稿に目を光らせるのは、当然の流れかと思います。
いやぁ、自由に言論ができるって本当に素晴らしいものですね。それではまた!
2021年10月15日 編集・翻訳(八度妖)
2022年10月7日 再UPLOAD(八度妖)