カテゴリー
中共

通州事件跡地にユニバーサル・スタジオ・北京が出来た、は本当か?!

【通州事件】

戦中、在支邦人が残虐非道に殺された事件であり、風化させてはならない事件であることは明白である。しかしその一方で歴史を歪曲してはいけないことも日本人であれば常識であろう。歴史を政治的な目的で利用せずに、正しい情報を後世に残すことが人類に課せられた使命である。

また、日本の教育下において、南京大虐殺を取り上げる事はあっても、通州事件を取り上げる小中学校の歴史教科書は無い(と思う)。これは文科省及び教科書出版社に改善してもらいたいことである。


さて、今日私が取り上げるのは、ネット上では、2021年9月にオープンした「ユニバーサル・スタジオ・北京(以下US北京)」が通州事件の事件現場跡に建てられており、都合の悪い事実は歴史から消し去り、無かった事にしようとしている、というような情報が流れている事について、素人ながらに検証してみた。


2020年時点ですでにこういう情報が流れていた

所謂インフルエンサーと言われる影響力のある人物が取り上げたことで一気に情報が拡散された模様

結論としては、

(主とされる)事件現場にはUS北京は建設されておらず、現場から4kmほど南にある場所に建設された

ということになりそうだ。


まずUS北京がどの場所にあるか見てみよう。

北緯39度51分23秒 東経116度40分44秒

地図で見ると、白い部分がUS北京が建設された場所である。

※Google Earthでは中国の衛星写真と実際の地形とは数十m~数百m程の差異があること、留意いただきたい。

一方通州事件は通州駅北部の城壁内で発生した。
通州駅の位置は

北緯39度53分45秒 統計116度39度24秒

見えづらいが黄色いピンがある場所が通州駅(通州站)である。事件現場は赤く囲われている場所で、通州駅より更に北側となる。

通州事件は歴史資料から駅北部の城壁内で行われた。

緯度が39度の場合、1分異なると1850mの差があるとのことなので、US北京と通州駅の緯度には2分22秒の差がある。つまり直線距離にして4.3kmほど離れている事が分かる。US北京と城壁内の距離は更に広がる。

※経緯度から距離を算出する方法

https://www.wingfield.gr.jp/archives/9721

つまり4.3kmも離れているのに、事件跡地にUS北京を建設して歴史を消し去ろうとしている、という情報には誤りがあると考えられる。恐らくUS北京も通州事件現場も「通州区」という行政区画に入っている為、短絡的かつ暴支膺懲的な考えがあり、実際の位置を確認せずに「跡地に建設」と情報発信したものと考えられる。

ただ、慰霊碑が撤去されたことは事実のようで※、共産主義(だけでなく中華的な思想)において都合の悪い事実は消し去ったり、無かった事にしようと企図することは常識である為、我々日本人は常に跡地や慰霊碑が無くなったとしても、記憶・後世へ残して行く努力をしていかなければならないと思う。

※慰霊碑が撤去されたのではなく、別の場所に移されたとの事です。(2022年8月4日)

以下に参考としたBlogのURLがあります

慰霊碑について(2022年8月4日追記)

慰霊碑について事件現場から「撤去された」と申しましたが、贔屓目に言うとどうやらそれは「半分本当」であり「半分誤り」であるのだが、事実はどうやら異なるようだ。現在慰霊碑は事件現場から南へ4kmほど言った所の「土橋駅」付近に存在しているため、「撤去された」ではなく「移設された」が正しい様だ。と言う事で移設を「撤去」と言うのは、いくらでも事実を歪曲して伝える事ができてしまうため、私は「慰霊碑が撤去された」という情報も誤りであると考える。

上は私が今回慰霊碑について調べた上で参考にしたBlogである。しかし学術的な裏付けがないため、こちらもあくまでも素人が行なった検証結果として捉えて頂けると幸いである。

https://blog.goo.ne.jp/hmb09/e/ddbb5b3fec9b929a262dfbd37268ff67

またもしかしたらUS北京の場所でも駅北部の城壁内よりも小規模で残虐非道な行為が行われていたのかもしれない。それであれば誤りと言えないが、私の能力ではそこまで調べることができない。詳しい方、ご教示いただけると幸いである。

脱「愛国カルト」のススメさんがもしかしたら検証してくれるかも、という淡い期待有
https://datsuaikokukarutonosusume.blog.jp/


Web管理者の考察

なお、私は決して親中とか媚中ということはなく、どちらかというと反中・反共的な考えを持っているが、なぜこのような情報の検証を行なったかというと、中国の脅威を日本人に知ってもらうために話を盛ったり、過激な見出しをつけて情報を発信することを「良し」と考えていないからだ。特に「歴史」が絡むことに関しては、扱いを慎重にするべきだと考えている。なぜなら、もし今回の「US北京は通州事件の跡地に建てられ歴史を消そうとしている」という情報を許せば、やっていることが中国と何ら変わらなくなってしまうからだ。

戦後日本人は連合軍によって骨抜きにされ、更には平和ボケしている事に強い懸念を抱く事は良い事だと思うし、何とかしなくてはならないと思う。だが、それを達成するために、事実を歪曲して感情を煽るという中国と同じ手法を採ることは許されることではないと思う。これが許されると、そのうちエスカレートし「愛国無罪」「反中無罪」という動きに発展してしまうことを懸念しているのである。

最後に、「真実を求める」ことが必ずしも民衆が望んでいるとは限らない。しかし、歴史という点においては、日本は近隣諸国と違い、良いも悪いもしっかりと正しい情報を残す国であるということを誇りに持つべきであり、そういう姿勢で歴史と向き合わなければならないと考える。

2022年2月2日 編集(八度妖)
2022年9月29日 一部追記(八度妖)